地下経済に詳しい方々から聞いた、面白い話。
意外と「被害者の声」が少ない
明らかに怪しいビジネスって大量にありますが、インターネットの時代だというのに、なぜか被害者の声ってほとんど表出していないんですよね。
「被害に遭う人々が情報弱者だから、発信できない」という説明も成り立ちますが、どうにもそれだけとは思えません。きょうび、サイトを作って情報発信をするくらいなら誰でもできますし。
で、聞いてみたところ、どうも、もっと巧妙な仕掛けがあるようです。
「手厚いサポート」で「自己責任」に持っていく
悪徳なビジネスを展開する彼らは、高額な商材を買った人たちに対して、たいへん手厚いサポートを提供します。「わからないことがあったら、すぐに相談できる」「教材を無料で提供する」「無料でSkypeコンサルティングを行う」「永久サポート」などなど。
これらのサポートは売り文句ではなく、実際に提供される点がミソです。話によれば、本当に、申し訳なくくらい、購入者をケアしてくれるそうで。
悪徳商法に騙される人は社会的に孤立しているケースが多いので、親身になってくれることそれ自体に感激し、「なんて良い会社、なんて良い人たちなんだ!」と心酔します。
しかしながら、どれだけ手厚いサポートがあったとしても、リターンが手に入るとは限りません。FXとか競馬のソフトを50万円で買ったとしても、当たり前ですが、全然元が取れない購入者もいるわけです。
50万円のソフトを買ったけど、1円も儲からない。それどころか収支は結局マイナスになっている。では、購入者は「詐欺だ!」と訴え出るかというと、そうはならないそうです。
つまり、彼らは手厚く親身なサポートを受けているがゆえに、「これだけアドバイスを貰って、指導してもらっているのにうまくいかないのは、ひとえに自分が未熟で下手だからだ」と考えるようになるのです。
どうでしょう、これ、恐ろしくないですか。手厚いサポートを提供するということによって、「儲からない」という結果を、「自己責任」に追いやっているのです。ぼくはこの悪徳さに、変な話、感銘を受けました。なんてうまくロジックが組まれているのでしょう。
さらなる「カモ」化
被害者が徐々に「自分はダメなんだ」という確信を強化していけば、悪徳業者はさらに搾取しやすくなります。落ち込んだ彼らに対して、「今回はうまくいかなかったけど、ほかにもっといいビジネスがある。こっちを試してみないかい?」と、被害者にさらなる「ケア」を与えることができるのです。
事実、一度被害にあった人のなかでは、自分が騙されているとは知らずに、次々と被害に遭うことがあるそうです。
ここまで来ると、当人を説得させることは困難です。周囲の人が「騙されてない?大丈夫?」と問いかけても、「あの人たちはこんな私のことを気にかけてくれる、とても良い人たちで、集会やセミナーもやっているので、詐欺じゃないと思う」と、半ば確信をもって、付いていってしまうのです。ぞっとしますね。
彼らのターゲットになりやすい人は、孤独で、善意や愛に飢えている人たちともいえます。ある種のセラピーとして、悪徳商法が機能してしまっているのかもしれません。
こうした搾取からの離脱は、容易なことではないのでしょう。「自分は騙されていたんだ」と考えることは、ショッキングなものですから。この恐怖によって、「本当は被害者なのに、当の本人が、その被害者性を認めない」という、なんとも倒錯した構造が維持されます。
こうしたトラブルの被害は後を絶たないそうで。SNSの時代になってから、むしろ被害は増えやすくなっているのかも。喫茶店に行くと時折この手のビジネスの話が漏れ聞こえてきますよね。
↓こうしたビジネスについて、みなさんはどう思いますか?どのようにして、被害を防ぐことができると考えますか?ぜひコメント欄で教えてください。