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高額時給でもバイト不足 南相馬

高い時給でアルバイトを募る「すき家原町店」

 福島第1原発事故の避難区域を抱える福島県南相馬市で、外食産業を中心に企業が募るアルバイトの賃金が高騰している。市民の大量避難で働き手が足りず、好条件の提示に踏み切った。それでも思うように集まらず、企業は頭を抱えている。

 「時給1050〜1320円」
 牛丼チェーンすき家原町店(同市原町区)に張り出されたアルバイト募集の告知。830〜1050円だった原発事故前の水準より200円以上アップした。東北で最も高い仙台市や郡山市の店を上回り、東京都の都心店のレベルに匹敵する。
 店は原発事故で一時休店し、2011年4月に営業を再開した。その時に確保できたアルバイトは約10人で必要人員の半分にとどまった。ことし5月までに段階的に時給を上げて募集したが、応募は振るわず、今も必要人員から5人程度欠けているという。
 運営会社のゼンショーホールディングス(東京)は「社員の派遣でやりくりして営業を続けるしかない」と困っている。
 ファミリーレストランのガスト原町店(原町区)は12年7月に再開した。アルバイトの時給をそれまでの700〜875円から880〜1100円に順次上げて募った。東北で最も高く、東京都の郊外店と同水準だ。
 だが、希望人員に満たず、社員を派遣したり、営業時間を短くしたりして対応している。
 原発事故で市は一部が避難区域に指定され、人口の5分の1を超す約1万5000人が市外に避難している。外食産業の主な働き手の若者や主婦の避難者が多く、人手不足の直撃を受けた。
 市商工労政課は「これほど高額な時給が示されても人が集まらないのは異常事態。企業活動の維持が難しくなり、将来的に地元の雇用の場が狭まる可能性がある」と話している。


2013年09月13日金曜日


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