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'13/9/12

平和大通り「住」化進む




 広島市中区の平和大通り周辺でマンションの建設ラッシュが起きている。住まいの都心回帰が強まる中、消費税増税を見越した需要も膨らみ、今後2年で11棟、550戸以上が完成する。広島を象徴する通りの主役は、オフィスからマンションに代わりつつある。

 中区中町の平和大通り北側。ホテル隣の更地で8月、クレーン車が動き始めた。19階と20階建てのマンション2棟が2015年、隣り合って完成する。

 この2棟を含め、通り沿いに建設(3月完成を含む)または計画中なのは、14〜20階建ての6棟。通り周辺も含めると、15年秋までに少なくとも11棟、計550戸が完成する。

 「消費税が上がる前に決めたい」。モデルルームを訪れた広島県府中町の会社経営男性(76)は選定を急ぐ。モデルルームには郊外の一戸建てに住む高齢者の姿が目立つ。

 平和大通り沿いは特に人気がある。「緑があり眺望を遮るビルが建たない」と販売担当者。通り沿いの新築は1戸4千万円台が中心。付近の相場より5〜10%高い。

 建設ラッシュは、支店の統廃合などによるオフィス需要の低迷に後押しされている。多くはオフィスの跡地。中町にマンションを計画するGAパートナーズ(同)の面出知洋マンション事業部長は「大企業や外資の拠点が減っている」と説明し、「住宅の供給でにぎわいを取り戻したい」と話す。

 建設が多過ぎるとの懸念もある。だが、土橋町に建設中の52戸を完売した三井不動産レジデンシャル中国支店(中区)の黒沢斉・副支店長は「一時的には供給過剰になっても、病院や商業施設に近い都心を望む人はさらに増える」とみる。

 広島修道大商学部の近藤和明教授(流通論)は「都心に無計画に住宅が増える一方で、福祉施設や広場などの整備は追いついていない。都市計画の見直しが必要だ」と指摘する。

【写真説明】マンション2棟が建設される平和大通り(左)沿いの更地(右下)




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