規制改革会議:看護師業務の拡大検討 52項目協議へ
毎日新聞 2013年09月12日 07時13分(最終更新 09月12日 09時35分)
政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)が規制見直しの対象として今期(2013年7月〜14年6月)協議する検討項目の全容が明らかになった。看護師が行える医療行為の拡大などが柱で全部で52項目。12日の会議で正式決定する。【宮島寛】
看護師は現在も医師の指示の下でなら一部の医療行為を行えるが、どの処置まで許されるのかの明確な基準がなく、動脈採血など日常業務まで医師が担っている例が多い。
しかし医師不足は地方を中心に深刻化しており、医師の負担を軽減し、高度な治療に専念させるためにも、技量に応じて看護師の行える医療行為の範囲を広げる必要があると判断し、具体策を協議することとなった。医師と看護師の効果的な役割分担が実現できれば、病院での待ち時間が短くなるなど効率化が進むとみている。
また、農地法で企業が農地を取得する際に設置を義務づけられている農業生産法人については、役員の過半が農業の常時従事者でなければならないなど厳しい条件がある。農地の大規模化による生産性向上のためにも設置条件の緩和などを協議する。
また、大学が開発した技術を産業界に積極的に転用する「戦略的な産学連携」について、国立大学にベンチャー企業への出資を認めることなどを検討する。
20年夏季五輪の東京開催に備え、国土交通省が検討に着手する羽田、成田両空港の発着枠拡大についても規制改革会議として後押しする方針。風俗営業法が社交ダンスを含むすべてのダンスを規制対象にしていることも緩和の方向で協議、移動販売車による医薬品やたばこの販売も検討する。
◇規制改革会議今期の主な検討項目
最優先案件
・混合診療の対象範囲拡大
・介護・保育への株式会社参入拡大
・農地規制見直し
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農業
・農業生産法人の要件緩和
・農協のあり方再検証
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貿易・投資
・対日投資促進
・空港規制緩和
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創業・IT
・国立大のベンチャー企業への出資解禁
・ダンスに関わる風俗営業法規制見直し
・移動販売車が扱える商品拡大
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健康・医療
・臨床試験データの有効活用
・看護師などの業務範囲拡大
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雇用
・労働時間法制の見直し
・限定正社員の雇用ルール整備
・労使双方が納得する雇用終了のあり方