九州経済連合会は九州の１１公立大学・短期大学を経営統合して、新たに九州立大学（仮称）を創設する構想をまとめ、九州知事会と経済団体でつくる九州地域戦略会議で１０月、正式に提起する。九州地域のための“知の拠点”をつくり、高校卒業者を九州に引き留めて地域の中核的人材を地元で育成するのが狙い。

　九州には現在、佐賀を除く６県に９公立大（うち市立は２）、２公立短大があり、生徒数は計約１万８０００人、教職員計約１４００人。構想によると、公立大・短大を経営統合し、広域連合が公立大学法人を設置。複数の大学を傘下に収め、１法人複数大学方式で運営する。事務部門やＩＴシステムなどで経営効率化を図りながら各大学の個性を発揮しやすくするという。

　さらに九州全体の成長戦略など政策立案するシンクタンク機能を持つ大学院や、観光、窯業分野で九州の成長に必要と思われる学校新設も想定している。

　九経連は約２年前に「九州の公立大学のあり方を考える研究会」（座長＝矢田俊文・前北九州市立大学長）を設け検討していた。構想は九経連が推進する道州制実現に向けての先駆けにしたい思惑もある。ただ、大学の設立経緯や財政状態などが異なるため、構想実現へのハードルは高いとみられる。

　九経連は統合可能な大学からの段階的実施も視野に入れており「各県へ課題提起するだけではなく、共同で研究し実現に向けて進めていきたい」としている。【中園敦二】