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UPDATE 3-政府、来年4月消費税3%引き上げ方針固める 2%分の経済対策も

2013年 09月 12日 19:09 JST
 
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[東京 12日 ロイター] - 政府は、来年4月に消費税率を現行の5%から8%へ予定通りに3%分引き上げる方針を固めた。デフレ脱却の芽を摘むことがないよう、2%の増税分に相当する5兆円規模の経済対策を検討することが浮上している。関係筋が12日明らかにした。

安倍晋三首相は10月1日に日本銀行が発表する企業短期経済観測調査(短観)などを踏まえ最終判断する。      消費税は、3%の引き上げで約8兆円の国民負担が発生すると試算されている。日銀の異次元緩和による円安効果もあり、消費者物価指数(CPI)は来春にも1%を展望できる情勢となりつつある。

首相は3%の増税がデフレ脱却の芽を摘む可能性を懸念、首相の経済ブレーンである浜田宏一、本田悦朗両内閣官房参与も増税の延期や1%ずつの小刻み増税を提唱してきた。このため何らかの負担緩和策が必要との見方で政府内は一致しており、5兆円規模の経済対策で、実質的な国民負担を軽減する案が選択肢の1つとして浮上してきた。   

政府や与党関係者の間では、国際公約である基礎的財政収支(プライマリーバランス)の削減・黒字化を進めるうえで、予定通りの3%増税は不可避であり、変更・延期すれば長期金利の急上昇や株式市場の急落を招くとの声が多数だった。これに対し、安倍首相周辺やリフレ派の識者は、デフレ脱却の芽を摘みかねないとして反対していた。

  しかし、内閣府が9日発表した4─6月期の国内総生産(GDP)2次速報値は1次速報値の2.6%から3.8%(年率)に大幅上方修正された。2020年の夏季五輪の東京開催も決まり、その経済効果が増税の影響を一定程度緩和するとの見方もあり、「増税延期・変更の理由はなくなった」(関係筋)とみられる。政府内では、首相が対策の策定を指示したのは「3%引き上げが前提」との声もある。

<経済対策5兆円案は13年度補正と14年度当初一体で、追加国債発行は回避>

政府は経済対策を9月末をメドにまとめ、来年の通常国会に提出する13年度補正予算案と14年度予算案・税制改正案に反映させる。急浮上してきた5兆円案についても、13年度補正予算と来年度当初予算・税制改正一体で議論されている。消費増税によって落ち込みが想定される4─6月期を補正予算の執行でサポートし、その後に効果が本格化する本予算で景気の持続的な下支えにつなげる狙い。13年度補正予算対応分について政府筋は「追加の国債発行をしてまでやろうと思っている人は誰もいない」として、国債発行は回避する考えを明言した。

経済対策の内容については、政府内で多様な意見が存在しており、今後の議論の展開によっては、曲折を経る可能性がある。規模についても「まだ幅のある議論だ」(別の政府筋)など、流動的だ。このため、10月に首相が公表する際は、対策の総額など規模感には言及しない可能性もある。

具体的なメニューは、投資減税などの法人税減税や、消費税の逆進性対策として既に導入が決まっている低所得者向けの現金給付措置など。現金給付は所得階層を限定して1人1万円とする案が濃厚だが、これによる規模は約3000億円程度とみられる。

法人税の実効税率引き下げをめぐる議論もくすぶっているが「政府内はもちろん、党内も意見集約に至っていない」(与党幹部)状況だ。

家計の所得の好循環を促す措置として、賃上げを行う企業への減税措置の拡充なども、野田毅自民党税調会長が前向きに取り組む方針を明言している。

政府はこれまで、1%の消費増税は年間で2.7兆円程度の税収増につながるとの見方を示してきた。だが、来年4月に予定通り3%の増税を実施しても、駆け込み需要の反動減などが影響して、初年度税収は1%分で2兆円を割り込むとの試算もあり、追加の国債発行につながりかねない大規模対策には慎重な見方がある。

一方で、政府内の非公式の試算によると、増税の影響を緩和するための対策を実施しない場合、4─6月期の国内総生産(GDP)は復興などの公共投資がピークアウトすることと相まって、前期比・年率換算で10%を超える落ち込みになるとの見方もある。

 
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