UPDATE 1-欧州議会、ECBへの銀行監督一元化を承認
(内容を追加しました)
[ストラスブール(フランス) 12日 ロイター] - 欧州議会は12日、欧州中央銀行(ECB)に2014年からユーロ圏の銀行を一括して監督する権限を付与する銀行監督一元化法案を承認した。ユーロ圏が目指す「銀行同盟」への第一歩となる。
法案は圧倒的多数で可決された。
ECBのドラギ総裁は「銀行同盟の創設に向けて現実的な一歩を踏み出した」と指摘。スタッフの雇用など、監督業務の稼動に向けた準備を速やかに進める考えを示した。
ユーロ圏は、銀行同盟という野心的かつ難しい目標に向け、今後は単一の銀行破たん処理制度や預金保護制度の構築を目指すことになる。
欧州委員会のバローゾ委員長は採決後、「単一の監督機関は経済および通貨の統合深化の要だ。今後の喫緊の課題は、単一の銀行破たん処理制度に注力していくことだ」と言明した。
法案が可決されたことで、2014年下半期からECBに銀行監督が一元化される予定。ドラギECB総裁は、単一の銀行破たん処理機関もそれまでに始動するべきだと主張しているが、この問題についてはEU加盟の財務相が13日に協議する予定。年末までの合意を目指している。
ギリシャ財政問題に端を発した圏内の債務危機は、その後アイルランド、ポルトガル、キプロスなどの財政危機も加わり、発生から既に3年以上経とうとしている。圏内の銀行システムをより一元的なものとすることは、将来の危機を阻止するために不可欠とみられている。
ただ、ドイツは、圏内の銀行破たん処理が同国の負担につながることを恐れ、ECBの銀行監督権限に関してだけでなく、銀行破たん処理のための機関や破たん処理費用を拠出する基金についても制限を加えるよう働きかけてきた。
同国は単一機関が過大な権限を持つことを懸念しており、銀行破たん処理機関の創設に関する欧州委の提案についても、欧州連合(EU)の法律に抵触するとして公に批判している。
欧州議会もまた、危機対応に関する影響力を強めることを目指してきた。ECBの銀行監督一元化法案についても、ECBに詳細な説明を求め、採決を遅らせた経緯がある。
関係機関が協調し銀行同盟の創設が実現するか金融市場が注視していることを、政策担当者は認識している。創設が大きく遅れる事態となれば、市場の信頼を損なう可能性がある。
バークレイズ・リサーチのエコノミスト、フィリップ・グディン氏は、「加盟国の間では依然異論が多い問題だけに、非常に厳しいスケジュールだとわれわれは考える。合意が遅れれば、単一銀行破たん処理メカニズムは、2014年10月に欧州委員会が交代した後ということになるだろう」と述べた。
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