米専門家「スリーマイルより状況複雑」9月12日 19時57分
東京電力福島第一原子力発電所で汚染水の問題が深刻化していることを受けて、アメリカスリーマイル島原発の廃炉作業を指揮した専門家が現場を視察し、「福島第一原発の場合、地下水が関係しているためスリーマイルよりも状況は複雑で難しい」と述べました。
視察を行ったのは、スリーマイル島原発の事故のあと、およそ4年間にわたって現場で廃炉作業を指揮した、アメリカ原子力規制委員会の元職員、レイク・バレット氏です。
バレット氏は、福島第一原発で汚染水の問題が深刻化していることを受けて、東京電力が新たに立ち上げた対策本部のアドバイザーとして招かれました。
視察では、先月およそ300トンの汚染水が漏れ出した山側にあるタンクや汚染された地下水の海への流出を防ぐため港の護岸沿いに行っている工事の現場などを見て回りました。
バレット氏は、すべてのタンクから汚染水が漏れたとしても周辺に流出しないよう周りのせきの高さを設定するなどの設計思想が必要だったとして、東京電力のリスク管理の甘さを指摘しました。
東京電力の廣瀬社長と会談したバレット氏は「スリーマイルでは汚染水が原子炉建屋の中にとどまっていたが、福島では地下水が関係しているので状況はより複雑で難しい」と述べました。
バレット氏は、13日、東京電力の本店で開かれる会議に出席し、今後の対応について助言することにしています。
バレット氏は、「汚染水を完全に管理するためには複雑なプロセスが必要だ。特に地下水など低レベルの汚染水は動きが複雑になるのでその管理は大きな課題だ」と話していました。
増え続けるタンクの汚染水については、「まずは国内外の基準以下になるまで放射性物質を取り除いていかなければならないが、次の段階はどう処分するかが課題となる。非常に膨大な量なのでため続けることはできず、おそらく海に流すことになると思うがその際は、技術的な課題よりも社会の合意を得るためのコミュニケーションが重要な課題になる」と述べました。
東京電力の廣瀬社長は、「スリーマイル島原発の事故を収束させたバレット氏の専門性やノウハウを今後、活用していきたい」と話していました。
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