薬剤耐性菌:都市河川に 東京工科大「感染症発生の恐れ」

毎日新聞 2013年09月11日 12時27分(最終更新 09月11日 12時50分)

 抗菌薬の効かない薬剤耐性菌が、都市部の河川に広がっている可能性のあることが、浦瀬太郎・東京工科大教授(環境工学)のチームの調査で分かった。身近な環境で耐性を持った大腸菌の存在は、治療が難しい感染症の発生につながる恐れがあるという。11月に札幌市で開かれる土木学会主催の「環境工学研究フォーラム」で発表する。

 薬剤耐性菌は、抗生物質などの抗菌薬を大量に使う病院で発生しやすく、院内感染の問題ととらえられてきた。しかし、近年は外来患者から検出されることが多い。

 そこで、チームは2011〜12年、東京都内の多摩川で、上流から下流までの約65キロの8地点で水を採り、そこに含まれる大腸菌を調査した。

 その結果、採取した大腸菌計3452株のうち75株は、感染症治療薬「第3世代セファロスポリン」が効かなくなる耐性を持っていることが分かった。人の生活に影響が出る中下流の4地点では3.1〜4.5%に達し、上流の4地点の0〜1%と比べて高かった。

 下水処理施設で大腸菌を基準値以下にしてもゼロではないため、薬剤の効かない大腸菌が大便とともに下水に排出され、川に流れ込んだとみられる。同様の現象は、都市部の河川に共通する可能性がある。

 大半の大腸菌に病原性はないが、病原性のある細菌に耐性が移ることがある。外来患者で薬剤耐性菌が増えていることとの関係は不明だが、浦瀬教授は「抗菌薬の使用用途を限定したり、下水処理の方法を改善したりするなど、社会全体で取り組む必要がある」と話す。【藤野基文】

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