Updated: Tokyo  2013/09/11 08:41  |  New York  2013/09/10 19:41  |  London  2013/09/11 00:41
 

9月10日の海外株式・債券・為替・商品市場

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  (ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。

◎NY外為:ドル指数下落、米国がシリアの化学兵器引き渡し案検討

ニューヨーク外国為替市場ではドルが主要通貨の大半に対して下落。ケリー米国務長官はシリアへの軍事攻撃の議会承認を模索一方、シリアに化学兵器引き渡しを求めるロシアの提案を米国は検討すると述べた。

円はこの日も主要16通貨の過半数に対して下落。日本銀行が公表した8月7、8日開催の金融政策決定会合の議事要旨によると、多くの委員は「海外金利上昇や景況感改善などに伴って生じる長期金利の上昇圧力を、日銀による巨額の国債買い入れが強力に抑制している」と指摘した。豪ドルは6週間ぶりの高値に上昇した。オーストラリア最大の貿易相手国である中国の景気回復を示す経済指標を好感した。

ミラー・タバクのチーフ経済ストラテジスト、アンドルー・ウィルキンソン氏は「シリア情勢の変化を受け、リスクが選好される状況に戻っているようだ」と指摘。「ファンダメンタルな見通しは金融緩和の縮小に絡んでやや暗くなっている。ドルはそれらを理由にやや軟調になっている」と述べた。

ニューヨーク時間午後5時現在、主要10通貨に対するドル相場を反映するブルームバーグ米ドル指数 は1027.88。一時は1026.53と、8月28日以来の低水準となった。

円は対ユーロで前日比0.9%安の1ユーロ=133円18銭。一時は5月22日以来の安値を付けた。対ドルでは0.8%安の1ドル=100円39銭。7月25日以来の水準に下げる場面もあった。ユーロは対ドルでほぼ変わらずの1ユーロ=1.3268ドル。

シリア情勢

フランスはロシアが支持したシリアの化学兵器没収案を国連に提出する計画だ。インタファクス通信は10日、シリアがロシア案を受け入れたと報じた。

ケリー長官は10日、下院軍事委員会で「その提案を待っているが、長くは待たない」と発言。「迅速で偽りなく、検証可能でなければならない。遅延作戦であってはならない」と言明した。

クレディ・アグリコルの為替ストラテジスト、シレーン・ハラーリ氏(ニューヨーク在勤)は「米国は攻撃以外の選択肢、主にロシアの提案を検討しているようだ。市場はそれに満足していると思う。ドルへの影響としては、事態が深刻化すれば安全な逃避先としての需要が高まるだろう」と述べた。

円は下落率首位

先進10カ国の通貨で構成されるブルームバーグ相関加重通貨指数によると、円は過去1週間に1.7%安と、下落率首位。ドルは1%下落、ユーロは0.5%下げている。

豪ドルは米ドルに対して3日続伸。オーストラリアの業況感指数が2011年5月以来の高水準に改善した。中国の8月の工業生産は前年同月比10.4%増加し、7月の9.7%増から伸びが加速した。

豪ドルは前日比0.9%高の1豪ドル=93.12米セントと、7月24日以来の高値を付けた。

原題:Dollar Falls as U.S. Considers Syria Weapons Plan; KroneRises(抜粋)

◎米国株:S&P500種が6日続伸-中国指標やシリア緊張緩和で

米株式相場は上昇。シリア情勢に緊張緩和の兆しが見られる中、中国の経済指標を受け楽観的な見方が広がった。S&P500種株価指数は6営業日続伸と、7月以降で最長の連続高となった。

ゴールドマン・サックス・グループとビザ、ナイキは全て上昇。この3銘柄はバンク・オブ・アメリカ(BOA)とヒューレット・パッカード(HP)、アルコアに替わり、ダウ工業株30種平均に採用される。一方でアップル は下落。同社はこの日、スマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」の新機種を発表した。

S&P500種 株価指数は前日比0.7%高の1683.99。6日続伸は7月15日以降で最長。ダウ工業株30種平均は127.94ドル(0.9%)上げて15191.06ドル。

ベル・エアー・インベストメント・アドバイザーズのポートフォリオマネジャー、ゲーリー・フラム氏は「シリアに関するニュースは前向きな内容で、中国の経済指標も良かった」とし、「9月に入り投資家は慎重にポジションを組んでいたが、彼らの懸念は一つ一つ消えつつあるか、弱まりつつある」と述べた。

シリア情勢

オバマ米大統領は民主党の上院議員に対し、シリアの化学兵器の国際管理をめぐる協議の時間を作るため、シリアへの軍事攻撃に関する決議案の採決を先送りするよう求めた。複数の議員が明らかにした。またフランスはロシアが支持したシリアの化学兵器没収の提案を国連に提出する計画だ。インタファクス通信は10日、シリアがロシア案を受け入れたと報じた。オバマ大統領は米東部時間午後9時に、シリア情勢への対応について説明を行う。

中国国家統計局の発表によると、8月の工業生産 は前年同月比10.4%増。小売売上高は同13.4%増となった。両統計とも、伸びは市場予想を上回った。これを好感し、米国株は朝方から上昇していた。

米金融当局は、今月の連邦公開市場委員会(FOMC)を控え経済指標に注目している。

ブルームバーグ・ニュースが実施したエコノミスト調査では、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で資産購入額を現在の月額850億ドルから100億ドル減らし、750億ドルにすると予想(回答した34人の中央値)されている。

ダウ平均の銘柄入れ替え

ダウ輸送株平均は1.9%上げて1カ月ぶり高水準。景気敏感株で構成するモルガン・スタンレー・シクリカル指数は1.7%上げ、1978年の指数開始以来で最高となった。S&P500種の業種別10指数では産業株と金融株の上げが目立った。

ゴールドマン・サックスは3.5%高の165.14ドル。ナイキは2.2%上げて66.82ドル。ビザは3.4%高の184.59ドル。HPは0.4%安の22.27ドル。アルコアは0.3%下げて8.06ドル。BOAは0.9%上昇し14.61ドル。

今回の銘柄入れ替えは、2004年4月以来の大幅なものとなる。資産規模で米5位の銀行であるゴールドマンと電子決済ネットワーク世界最大手ビザが加わるため、金融銘柄が増えて影響が増すことになる。

アップルは2.3%安の494.64ドル。同社はこの日、アイフォーンの新型2機種を発表した。カラーバリエーションの豊富な低価格版と最上位機種の最新版だ。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は、世界各国でより幅広い顧客層を取り込むため戦略をシフトさせている。

アップルはまた、NTTドコモが新たな販路に加わったことを明らかにした。

原題:U.S. Stocks Advance on Chinese Economy, Optimism OverSyria(抜粋)

◎米国債:3日ぶりに下落、対シリア攻撃回避の観測で逃避需要減退

10日の米国債相場は3日ぶりに下落。シリアの化学兵器を国際管理下に置くとのロシアの提案で米国による軍事攻撃を回避できるとの観測が広がり、米国債に対する逃避需要が減退した。

午後に入って3年債の入札 (310億ドル)が実施され、最高落札利回りは予想を下回った。入札後も米国債は売られた。10年債利回りは3%に迫った。米金融当局が次回会合で月間850億ドルの緩和策を縮小するとの観測から10年債利回りは先週3%を上回った。

BNPパリバの金利ストラテジスト、アーロン・コーリ氏(ニューヨーク在勤)は「投資家はこの日のニュースに強く反応。値動きは荒くなった」と述べ、「新たな利回り水準を試す展開だ。利回りは上昇するだろうが、緩やかなペースになるだろう」と続けた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回り は5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上げて2.96%。6日には3.005%と、2011年7月以来の高水準となった。同年債価格(表面利率2.5%、償還期限2023年8月)はこの日、14/32下げて96 1/32。

既発3年債利回りは4bp上げて0.89%。今月6日には0.98%と、2011年5月以来の高水準を記録した。過去1年間の平均値は0.45%となっている。

3年債入札

3年債入札の結果によると、最高落札利回りは0.913%。入札直前の市場予想は0.92%だった。3年債の最高落札利回りとしては2011年5月以来で最高となった。財務省は3年債の入札規模を2010年10月以降、320億ドルで据え置いてきたが、今回は310億ドルに引き下げた。

投資家の需要を測る指標の応札倍率 は3.29倍と、前回の3.21倍を上回った。過去10回の平均値は3.36倍となっている。

海外の中央銀行を含む間接入札者の落札全体に占める比率は33.1%だった。過去10回の入札の平均は27.4%。プライマリーディーラー以外の直接入札者 の落札全体に占める比率は20%。過去10回の平均は19%。

年初から実施された入札の規模はこれまでに計1兆4740億ドル。ブルームバーグがまとめた財務省のデータによると、応札倍率は平均で2.88倍。2012年は3.15倍と過去最高だった。

財務省は11日に10年債(210億ドル)、12日に30年債(130億ドル)の入札を実施する。

ロシアの提案

米国債は米国の対シリア攻撃を回避するロシアの提案に反応して下げた。ロシアはシリアに対して化学兵器を引き渡し、国際管理下に置くよう求めた。

メリルリンチ・オプション・ボラティリティ・エスティメート(MOVE )指数は101.81。7日連続で100を上回った。これは2011年11月以来で最長となる。5日には2カ月ぶり高水準の114.19をつけた。

ブルームバーグ・ニュースが6日に実施したエコノミスト調査の中央値によると、9月17-18日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では米国債の購入規模を現在の450億ドルから350億ドルに引き下げる一方で、政府支援機関の住宅ローン担保証券の購入規模は400億ドルで維持すると予想されている。

原題:Treasuries Drop for First Time in 3 Days Amid Lower HavenDemand(抜粋)

◎NY金:2カ月ぶり大幅安、シリア外交決着への動きで売り

ニューヨーク金先物相場は下落。2カ月ぶりの大幅安となった。ケリー米国務長官が米国はシリアに化学兵器の放棄を求めるロシアの提案について検討すると発言したことが背景。

リード上院民主党院内総務はシリアに化学兵器を放棄するよう説得する外交的取り組みに時間を割くべきだとし、米国の軍事攻撃を承認する法案の代替案を上院の超党派グループが作成中であると明らかにした。米金融当局が早期に緩和策を縮小するとの観測も金売りを後押しした。

コメルツ銀行のアナリストはリポートで、「シリア危機の緩和を示す最新の兆候を受けて、金価格は圧迫されている」と指摘。「連邦公開市場委員会(FOMC)が来週の会合後に債券購入を縮小する可能性も排除されておらず、それも金の重しになっている」と続けた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比1.6%安の1オンス=1364ドルで終了。中心限月としては7月5日以来の大幅下落となった。年初からは19%値下がりしている。

原題:Gold Tumbles Most in Two Months on Syria Plan; SilverDeclines(抜粋)

◎NY原油:続落、シリアが核兵器引き渡し案に前向き

ニューヨーク原油先物相場は3週間ぶりの大幅安。ロシアが提示した化学兵器引き渡し案に対し、シリアが受け入れを表明したと伝えられたことから、米国による攻撃で中東原油の供給が滞るとの懸念が緩和された。

フランスはシリアの化学兵器を没収する案を国連に提案する意向を明らかにした。アサド政権はロシア案を受け入れたと報じられた。ケリー米国務長官は外交努力を実らせるためには、米国による武力行使の脅威が必要だと述べた。オバマ大統領は今夜、テレビを通じて国民に対して演説する。

ソシエテ・ジェネラル(ニューヨーク)の石油市場調査グローバル責任者、マイク・ウィットナー氏は「米国主導のシリア攻撃はもはや市場に織り込まれていない」と指摘。「シリア攻撃とそれに伴う供給障害への不安は急速に薄れた。ロシア案は米国を含め各方面で検討されている」と続けた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前日比2.13ドル(1.94%)安の1バレル=107.39ドルで終了。終値としては4日以来の安値。

原題:Crude Tumbles as Russia’s Syria Proposal Eases SupplyConcerns(抜粋)

◎欧州株:3カ月半ぶり高値、中国指標が予想以上-シリア懸念も緩和

10日の欧州株式 相場は3カ月半ぶり高値に上昇した。中国の経済指標が予想を上回ったことが手掛かり。ロシアが提案した化学兵器没収をシリアが受け入れた場合、米国がシリア攻撃を見送るとの見方も支援材料となった。

フランスの自動車メーカー、プジョーシトロエン(PSA)は1年5カ月ぶり高値に上昇。プジョー・ブランドの値引きをしないと発表したことが買い材料。スイスの資源会社、グレンコア・エクストラータは2.3%上昇。エクストラータ買収に伴うコスト削減の推計を当初予想から引き上げた。フィンランドの製油会社、ネステ・オイルは5年ぶり高値を付けた。同社は通期利益見通しを上方修正した。

ストックス欧州600指数 は前日比1.3%高の309.8と、5月22日以来の高値で終了した。年初来では11%上げている。

ライファイゼン・キャピタル・マネジメント(ウィーン)の株式部門責任者、ヘルベルト・ペルス氏は電話インタビューで、「センチメントに変化があり、市場は年内に一段高となると思う」と発言。「シリアはもはやそれほど大きな問題ではない。軍事攻撃の可能性は低くなったようだ」と語った。

8月の中国統計によると、工業生産 は前年同月比10.4%増、小売売上高は13.4%増えた。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査の中央値では9.9%、13.3%それぞれ増加すると見込まれていた。

10日の西欧市場では、18カ国中17カ国で主要株価指数が上昇。仏CAC40指数は1.9%、独DAX 指数は2.1%それぞれ上げ、英FTSE100指数は0.8%高となった。

原題:European Stocks Climb to Highest Since Mayon China Data, Syria(抜粋)

◎欧州債:イタリア10年債利回り、スペイン債上回る-英独債は下落

10日の欧州債市場では、イタリア10年債利回りが同年限のスペイン債利回りを1年半ぶりに上回った。イタリア上院でのベルルスコーニ元首相の議員資格剥奪をめぐる採決が連立政権を不安定にするとの観測が広がった。

スペイン債は1カ国を除くユーロ圏全ての国債のパフォーマンスを上回り、ドイツ債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)はここ約2年で最小の水準に近付いた。ドイツ債は下落。中国の経済データがアナリスト予想を上回ったほか、シリアをめぐる政治的緊張が和らぎ、域内で最も安全とされるドイツ債を求める動きが後退した。ドイツはこの日、インフレ連動債を9億1000万ユーロ発行した。

ウニクレディト(ミラノ)のシニア債券ストラテジスト、ルカ・カツラー二氏は「イタリアの政治情勢をめぐる不透明感の高まりが相場を動かしている」とし、「これまでも緊張時にイタリア国債の利回りはスペイン国債のそれを上回った。マクロの観点から両国の間に大差はなく、データはともに改善している」と語った。

ロンドン時間午後4時33分現在、イタリア10年債利回りは前日比1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.53%。同国債(表面利率4.5%、2023年5月償還)価格は0.05下げ100.15。

同年限のスペイン債利回りは3bp低下し4.51%。同国債利回りがイタリア債を前回下回ったのは2012年3月6日。

ドイツ10年債利回りは7bp上昇し2.03%。6日には2.05%と、12年3月以来の最高に達した。スペイン10年債とのスプレッドは10bp縮小の248bp。先月19日時点では244bpだった。

英国債相場も下落し、10年債利回りは11年7月以来の高水準となった。米国の対シリア軍事行動の可能性が後退したほか、中国経済が改善したことが背景にある。

ロンドン時間午後4時8分現在、同利回り は7bp上昇の3.03%。一時は3.05%まで上げた。同国債(表面利率2.25%、2023年9月償還)価格は0.575下げ93.365。

原題:Italy Yields Rise Above Spain’s asBerlusconi Debate Stems Rally(抜粋)U.K. Gilts Fall as Syria Tension Eases, House-Price Gauge Jumps(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク 楽山 麻理子 + 1-212-617-4903mrakuyama@bloomberg.net;ニューヨーク 西前 明子 +1-212-617-2601 anishimae3@bloomberg.net

更新日時: 2013/09/11 06:55 JST

 
 
 
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