ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
幸福大国デンマークのデザイン思考
【第2回】 2013年2月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
大本 綾

デンマーク人は本当に幸せなのか?
住んで初めてわかった「幸福感」の違い

previous page
2
nextpage

幸福大国に暮らす人が毎日気にしていること

 幸福大国にある、地球上で最も幸せと言われる町に暮らして半年が経ちました。社会福祉制度のおかげで、満足のいく生活ができるのは納得がいきます。ただ、それだけではなく、デンマーク人の幸せとは、毎日工夫をして心地よい生活を送ることではないかと最近思うようになりました。

 なぜなら特に11月以降は基本的に毎日曇り空で、気分も落ち込みぎみになりとても幸せな気分にはなれないからです。アメリカに同時期に留学中で、「Design School留学記」の著者であるイリノイ工科大学の佐宗邦威さんと共同で行った幸福に関する調査で、オーフスに住む20代の若者に、アンケートを実施しました。

 毎日のルーティーンについて聞いてみるとこんな答えが返ってきます。

 「毎朝、瞑想をしています。朝急がずに済むように、早く起きて時間を作れるようにしています。あといずれ私は死ぬんだ、と思い出すようにしていて、何が起きてもそれほど重要ではないと思うようにしています」

 「週に2~4回はダンスをしています。十分な睡眠をとり、あまり働きすぎないようにしています。いつも違うことをやろうとしています。例えば、家でテレビを見るのではなく、外に出て逆立ちをする練習をしたりするのです」

 「ヨガとストレッチ。あとは、その日上手くいったことを3つ、感謝していることを3つ毎日書くこと。一年中海で泳ぐこと。友達と頻繁にディナーをしたり、楽しい会話をする場所を持つこと」

 毎日健康に気を配り、余裕のある生活を心がけているようです。1日で多くのことを成し遂げるよりも、プライベートの時間を確保してリラックスすることを重視しています。

また、晴れれば、外で「え?」と目を疑うようなことをするのがオーフスの人の特徴です。

先日も町の真ん中で、バク転の練習をしている人々を見かけました。天候が悪い日が続いても、心はカラフルな毎日を過ごしているのです。

 

previous page
2
nextpage
Special topics
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
キーワード  留学
戦略参謀

戦略参謀

稲田 将人 著

定価(税込):1,680円   発行年月:2013年8月

<内容紹介>
紳士服チェーン「しきがわ」の営業マン高山昇は、陰謀家の阿久津専務の逆鱗に触れ、新設の経営企画室に異動に。だが、高山は持ち前の正義感と行動力を武器に、室長の伊奈木とコンサルタントの安部野の助力を得ながら、社長の補佐役として成長。社内の地雷を踏みまくりながら経営改革に取り組姿を描くビジネスストーリー。

本を購入する

DOLSpecial



underline
ダイヤモンド社の電子書籍



大本 綾 [おおもと・あや]

1985年生まれ。立命館大学産業社会学部を卒業後、WPPグループの広告会社であるグレイワールドワイドに入社。大手消費材メーカーのブランド戦略、コミュニケーション開発に携わる。プライベートでは、TEDxTokyo yz、TEDxTokyoのイベント企画、運営に携わる。2012年4月にビル&メリンダ・ゲイツ財団とのパートナーシップによりベルリンで開催されたTEDxChangeのサテライトイベント、TEDxTokyoChangeではプロジェクトリーダーを務めた。デンマークのビジネスデザインスクール、The KaosPilotsに初の日本人留学生として受け入れられ、2012年8月から留学中。


幸福大国デンマークのデザイン思考

ビジネスデザインスクール留学ルポ

世界で最も刺激的なビジネススクールとして注目されるデンマークの「The Kaospilots」に、初の日本人留学生として受け入れられた大本綾さん。彼女が世界のデザインスクール最前線での学びをリアルタイムで書き記す「留学ルポ」連載。日本ではまだ馴染みの薄いデザイン思考だが、近年、欧米ではビジネスや社会に変革を起こす発想法として、俄然注目を集めている。
また、デンマークは幸福大国として知られているが、その実態はあまり日本人には馴染みがない。彼らの価値観から教育、公共デザイン、ライフスタイル、社会福祉、家具、ファッション、広告、食事、子育てまで、現地で取材しながらレポートしていく。月1回掲載予定。

「幸福大国デンマークのデザイン思考」

⇒バックナンバー一覧