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幸福大国デンマークのデザイン思考
【第2回】 2013年2月28日
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大本 綾

デンマーク人は本当に幸せなのか?
住んで初めてわかった「幸福感」の違い

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The Jante Lawの存在

 「君がそういう風に感じたのは、Jante Law(ジャンテロウ)があるからだよ。北欧の人、特にデンマーク人はこれを気にしているんだ」。そう言って教えてくれたジャンテロウとは、1933年にデンマークのライターのアクセル・サンダモセ氏が考えたコンセプトです。デンマーク人なら誰もが一つや二つは覚えているそうです。

1. Don’t think that you are special.
 (自らを特別であると思うな)
2. Don’t think that you are of the same standing as us.
 (私たちと同等の地位であると思うな)
3. Don’t think that you are smarter than us.
 (私たちより賢いと思うな)
4. Don’t fancy yourself as being better than us.
 (私たちよりも優れていると思い上がるな)
5. Don’t think that you know more than us.
 (私たちよりも多くを知っていると思うな)
6. Don’t think that you are more important than us.
 (私たちよりも自らを重要であると思うな)
7. Don’t think that you are good at anything.
 (何かが得意であると思うな)
8. Don’t laugh at us.
 (私たちを笑うな)
9. Don’t think that anyone of us cares about you.
 (私たちの誰かがお前を気にかけていると思うな)
10. Don’t think that you can teach us anything.
 (私たちに何かを教えることができると思うな)
11. Don’t think that there is something we don’t know about you.
 (私たちがお前について知らないことがあると思うな)

 このジャンテロウについて多くのデンマーク人に「これを初めて聞いたときのことを教えてくれない?」と聞いても、誰も答えられる人はいません。日本人が礼儀正しさを大切にしていて、それが国民性であるように、デンマーク人にとってもジャンテロウの平等に価値をおくのは国民性だと言うのです。

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キーワード  留学
戦略参謀

戦略参謀

稲田 将人 著

定価(税込):1,680円   発行年月:2013年8月

<内容紹介>
紳士服チェーン「しきがわ」の営業マン高山昇は、陰謀家の阿久津専務の逆鱗に触れ、新設の経営企画室に異動に。だが、高山は持ち前の正義感と行動力を武器に、室長の伊奈木とコンサルタントの安部野の助力を得ながら、社長の補佐役として成長。社内の地雷を踏みまくりながら経営改革に取り組姿を描くビジネスストーリー。

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大本 綾 [おおもと・あや]

1985年生まれ。立命館大学産業社会学部を卒業後、WPPグループの広告会社であるグレイワールドワイドに入社。大手消費材メーカーのブランド戦略、コミュニケーション開発に携わる。プライベートでは、TEDxTokyo yz、TEDxTokyoのイベント企画、運営に携わる。2012年4月にビル&メリンダ・ゲイツ財団とのパートナーシップによりベルリンで開催されたTEDxChangeのサテライトイベント、TEDxTokyoChangeではプロジェクトリーダーを務めた。デンマークのビジネスデザインスクール、The KaosPilotsに初の日本人留学生として受け入れられ、2012年8月から留学中。


幸福大国デンマークのデザイン思考

ビジネスデザインスクール留学ルポ

世界で最も刺激的なビジネススクールとして注目されるデンマークの「The Kaospilots」に、初の日本人留学生として受け入れられた大本綾さん。彼女が世界のデザインスクール最前線での学びをリアルタイムで書き記す「留学ルポ」連載。日本ではまだ馴染みの薄いデザイン思考だが、近年、欧米ではビジネスや社会に変革を起こす発想法として、俄然注目を集めている。
また、デンマークは幸福大国として知られているが、その実態はあまり日本人には馴染みがない。彼らの価値観から教育、公共デザイン、ライフスタイル、社会福祉、家具、ファッション、広告、食事、子育てまで、現地で取材しながらレポートしていく。月1回掲載予定。

「幸福大国デンマークのデザイン思考」

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