自主避難者減るも地元戻り孤立9月10日 21時3分
原発事故の影響などで自主的に避難生活を送っている福島県の住民はおよそ4万9000人と、去年より4000人余り少なくなり、徐々に地元に戻り始めていることがNHKの取材で分かりました。しかし、地元に戻った人の中には、避難したことが後ろめたいと感じて、周囲と打ち解けられず孤立しているという人もいて、支援団体は「避難した人と福島にとどまった人が認めあえるような交流の場を作っていかなくてはならない」としています。
福島県では、原発事故や震災の影響で、依然としておよそ14万6000人が避難生活を続けていますが、このうち、自主的に避難している人の数について、NHKは福島県内の59の市町村すべてに取材しました。
その結果、市町村が把握している数は、先月の時点で、県外で避難生活を送っている人が3万3688人、県内が1万5191人と、合わせて4万8879人で、去年の同じ時期より4008人少なくなっていて、自主的に避難した人が徐々に地元に戻り始めていることが分かりました。
避難者の支援団体などは、自主的に避難している人は母親や子どもが多く、父親が地元に残る二重生活で経済的に苦しくなったり、除染が進んで放射線への不安が少なくなったと感じたりして戻った人が増えたためではないかとしています。
その一方で、地元に戻った母親の中からは「やはり放射線が気になる」「避難したことが後ろめたいと感じて、ずっと地元にとどまっていた人たちと話をしにくくなり、孤立している」などという声も聞かれ、いったん、福島に戻ったものの再び県外に避難する人も出ています。
これについて、NPOで避難者や被災者の相談に乗っている志村友理さんは「避難生活を終えて福島に戻った母親が、周囲と打ち解けられず孤立しているケースが少なくない。避難したことがある人と、避難せずに福島にとどまった人がお互いを認めあえるような交流の場を作っていかなくてはならない」と話しています。
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