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ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・

シリア現地の声vs独裁政権プロパガンダ

 駐日シリア代理大使が記者会見。
▽米報告書に強く反論 シリア代理大使(産経)
 発言の中には、こんな言葉もあったようです。
「国際社会―国連には「いつでも来て調べてください」と言っている。テロリストがこんなことをやっているとお見せしたい」
(▽シリア代理大使 「米国につき従ってはいけない」)(ブロゴス/田中龍作氏レポート)
 もちろん嘘ですが、彼女は嘘を言わないと本国の一族が酷い目に遭わされる立場にいます。
 この代理大使のことは知りませんが、胸元の大きく空いた服装で公の場に出るのは、シリア政府機関幹部としては珍しいですね。自分たちはイスラム過激派と戦う西側基準の仲間だというアピールでしょうか。

「反体制派は外国の支援を受けるテロリスト」とか「化学兵器使用は反体制派の自作自演」とか、ネット上だけの戯言かと思っていましたが、最近のシリア報道で、意外と日本の論調で影響力があることに少し驚いています。
 大雑把に言えば、日本の論調は、「現地の声」と「独裁政権のプロパガンダ」が同格の両論併記で紹介されている印象があります。
「シリア情勢は国外勢力の思惑が錯綜し、そう単純な話ではない」
 現地事情がわかりづらいためか、こんな言説が多いようですが、日々殺され続けている現地の人にとっては話は単純です。
「誰でもいいからアサド政権を倒してほしい」

 私はなんだかんだと20年の縁があり、日本人記者としては誰よりもシリア社会と長く、深く接してきました。今でも知人が多いですし、なにより自分はかの国をルーツのひとつとする子供たちの父でもありますから、自分にはこの問題では声を上げる責務があると思っています。
 ということで、JBpressに寄稿しました。
▽「どこの国でもいいから助けてくれ!」 シリア国民の悲痛な叫びを聞いてほしい(JBpress)

本当はあまり私的なことは公開したくないのですが、やはり私の知るシリア国民の声を、もっと広く皆様に聞いてほしいと思っています。
 同じような理由で、先週発売の『週刊朝日』に寄稿した「アサド政権の化学兵器使用と恐怖政治」という記事中でも、自分の元妻がシリア人であることを明かし、アサド政権の邪悪な本質を紹介しています。
 こちらは記事の一部が、同誌提供でdot.に2回に分けて転載されています。
▽シリア秘密警察 日本人軍事ジャーナリストにスパイ嫌疑
▽シリア情勢 日本の報道と現地には温度差
 今回、現地の声を広く知っていただくために私的な事情を公開しましたが、私の分析と判断は、むろん単なる個人的人脈からの情報だけに頼っているわけではなく、これまでの取材経験や、広範囲の情報収集・分析に基づくもので、それなりに自信を持っています。
  1. 2013/09/09(月) 09:33:30|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
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コメント

>胸元の大きく空いた服装で公の場に出るのは、シリア政府機関幹部としては珍しいですね。自分たちはイスラム過激派と戦う西側基準の仲間だというアピールでしょうか。

バース党支配の世俗国家ならありえるかと思ったが、やっぱり宣伝工作か。私も引っ掛かって、アサド政権良いじゃんと思いかけた(笑)。

最近友人が「ロシアのプーチンは化学兵器使用は反体制派の自作自演と言ってるがどう思う」とヨルダン川西岸地区に住む数人のパレスチナ人に聞いたところ肯定する者は誰もいなかった。当然の様に皆が「アサドがやった」と答えた。

アラブ人のメンタリティーから言っても自分の見方に「自作自演」は難しいだろう。
  1. URL |
  2. 2013/09/09(月) 16:03:04 |
  3. 道楽(どら)Q #-
  4. [ 編集]

見方じゃなくて味方。失礼。
  1. URL |
  2. 2013/09/09(月) 16:08:33 |
  3. 道楽(どら)Q #-
  4. [ 編集]

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  1. |
  2. 2013/09/09(月) 17:29:11 |
  3. #
  4. [ 編集]

ご親類が大変な状況であること、大変お辛い気持、心中お察しします。

しかしながら、今回の黒井さんのご意見はジャーナリストとしては不十分であると思います。

全てのリンクを確認し、熟読しましたが、黒井さんご自身が仰っているように反体制派市民の悲痛な叫びは一部のサンプルでしかありません。それを大多数の国民も同じであると断定されるのは、横暴と言ってもいいくらいの飛躍です。

おそらく、ご自身のシリアでのご経験をもとにそのように推察されているのでしょうが、それはあくまでも「推察」です。その根拠はどこにあるのでしょう?

また、現地の友人とコンタクトを取ったのがいつかも示されていません。

反体制派の大多数はシリアの一般市民で、武器は政府軍から奪ったものだとされておりますが、戦車や9M113コンクールスなどが簡単に奪えるものなのでしょうか?外国からの武器供与によるものではないのですか?
http://www.youtube.com/watch?v=A2jhrn-o3II(戦車)


また、UNシリア調査団のCarlaさんが今年5月に「反政府側がサリンガスを使用した」と言っているのをご存知ですか? 
http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-22424188

サリンはトルコから持ち込まれたという報道もあります。
http://www.globalresearch.ca/turkey-finds-sarin-gas-in-homes-of-suspected-syrian-islamists-may-report/5347523

また、Calraさんは8月に現地を視察してきたことを踏まえ、「軍事介入はすべきではない」と言っています。
http://www.utsandiego.com/news/2013/sep/09/un-rights-chief-condemns-use-of-chemical-weapons/

また、以上のソースは全て「ロシアのメディア、イラン・ラジオ、アブハジアのテレビ」ではないことを付け加えておきます。黒井さんが言う反アサド派の「欧米主要メディア」もソースにあります。

黒井さんのお辛い気持は理解しますが、それをジャーナリストとして感情論で偏った見方に基づいた、また不完全な取材に基づいた主張はやめたほうがよいと思います。

kudo
  1. URL |
  2. 2013/09/10(火) 11:46:50 |
  3. kudo #skV5uDp6
  4. [ 編集]

東風平隆志です。

東風平隆志です。
今回は、ブログを読んで感動しました。
突然のコメントすいません。
また、読みに来ます。
私は、法学者に憧れています。
学生時代に法学者の林田学さんのセミナーを見て凄いと思いました。
是非、お時間が空いたときに林田学さんのセミナーを見て下さい。
林田学さんのセミナーも勉強になりますよ。
東風平隆志でした。
  1. URL |
  2. 2013/09/10(火) 12:10:51 |
  3. 東風平隆志 #UoJNG4XU
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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