暴行加害者の警察幹部、被害者にうその上申書を書かせる

部下の警察官の義妹に性的暴行
被害者が告訴するも、幹部は通常通り勤務

 現職の警察幹部が、部下の警察官の義妹に対し性的暴行を加えたとして内部監察を受けていることが、9日までに分かった。事件が発生してから2カ月たっているにもかかわらず、この幹部は特に制裁を受けることなく、被害者の義兄と同じ警察署に勤務し続けているため、是非をめぐって論議を呼んでいる。

 監察関係者によると、警察大学出身でソウル冠岳警察署に勤務する警衛(日本の警部に相当)=37=は、今年7月6日午後8時30分ごろ、部下の警察官の義妹に当たる女性(36)をソウル市冠岳区新林洞のモーテルに連れ込み、性的暴行を加えた疑いが持たれている。警衛は当時、部下から女性を紹介され、約1週間にわたってたびたび会っていたという。女性は「警衛は私が酒に酔って立てなくなった後、モーテルに連れ込んで2回にわたり性的暴行を加えた」として告訴した。

 その後、警衛が女性の家族と会い、結婚を約束したことで、事件は一段落したかに見えた。警衛は「懲戒処分を受けるかもしれないから、合意の下で性的関係を持ったという内容の上申書を書いてほしい」と求めた。度重なる説得に対し、女性は警衛の望み通りに上申書を作成、証拠を廃棄するなどして、事実上告訴を取り下げた。

だが、虚偽の上申書を受け取った警衛は、女性からの電話に出ず、距離を置くようになった。警衛の母親は「絶対に結婚を認めない」として反対した。対立の末、女性は先月1日「うその上申書を書かせた後、私を惜しげもなく捨てた」という内容の上申書を提出した。

 これに対し冠岳警察署は、警衛を原則に従って処分せず、問題をさらに大きくした。ある警察署の聴聞監査官は「通常、警察が『性的暴行を受けた』という告訴を受理したら、嫌疑が晴れるまで自宅待機を命じるのが常識なのに、あきれてものが言えない」と話した。なお、冠岳署は今年5月、韓国の警察署では初めて、性的暴力専門捜査班を新設している。

 冠岳署の関係者は「警衛が『互いに同意した上で性的関係を持った』と主張するなど、両者の主張が対立している状況であるため、捜査結果を待っている。今後、性的暴行容疑で起訴することになれば、懲戒処分の手続きを取る」と釈明した。一方、問題の警衛は本紙の記者の取材に対し「公務員という身分であるため、取り立てて言うことはない」として反論を拒んだ。

 ソウル地方警察庁は中立性などを考慮し、近くの瑞草警察署が事件の捜査を行うよう指示した。

キム・ヒョンウォン記者
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