球界屈指の名捕手、谷繁【拡大】
神経を研ぎ澄ませ、球種を読む。チャンスは一打席のみ。打つか、打ち取られるか-。そこに、代打の醍醐(だいご)味がある。今季限りでの現役引退を表明した桧山が、名捕手との対決に全力で挑んでいく。10日からの中日3連戦。まずは竜の正妻・谷繁の頭脳に打ち勝つ。
「(川上)憲伸投げるの? それも(楽しみ)だけど、谷繁という名捕手がいるからね。そっちの駆け引きが楽しみ。真剣勝負のなかに楽しみがあるから。なんとか打ち崩したいと思っている」
第1戦の中日先発は川上。右腕との日本球界復帰後初対決も心待ちにしたが、メーンは6度のリーグ優勝を経験、通算2882試合出場のベテラン捕手との心理戦だ。聖地で竜と相まみえるのは10日を含め、あと4試合。大勢の虎党の前で名勝負を披露する。
竜の頭脳に打ち勝った印象的な試合がある。2011年の5月14日の中日戦(甲子園)。九回に代打で登場すると、追い込まれながらも、内角低めのスライダーを読み切り一閃。岩瀬から右翼へソロアーチを放った。そのときマスクを被っていたのは谷繁だった。この一発で代打通算14本目となり、球団新記録を達成。プロ野球人生のなかでも思い出深い1本を、谷繁の目の前で打ってみせた。
「(いろんな球団関係者に)会ったら、あいさつとかもしないといけないしね」
前日8日の巨人戦(同)では、九回に代打でその名がコールされると、「虎一筋22年 桧山進次郎 ありがとう」などのメッセージボードも掲げられていた。試合後も黙々と素振りを繰り返すその姿は、プロ野球選手の鑑。レギュラーシーズンはあと23試合。バットを置くその日まで、全力で戦っていく。 (西垣戸 理大)
(紙面から)