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トルコで日本人観光客襲われる 1人死亡1人重傷

図:カッパドキアの地図拡大カッパドキアの地図

 【アンカラ=金井和之】世界遺産に登録されているトルコ中部の観光名所カッパドキアで9日、日本から観光に来ていた新潟大学の女子学生2人が何者かに刃物で襲われ、1人が死亡、もう1人も重傷を負った。警察当局が現場から逃走した容疑者の行方を追っている。

 亡くなったのは栗原舞さん(22)=新潟大教育学部4年=、負傷したのは寺松星絵さん(22)=同。在トルコ日本大使館によると、寺松さんは近くの公立病院に運ばれ、手当てを受けている。同大使館は、寺松さんの容体について「非常に厳しい状態」としている。現地時間の10日朝までに大使館員が現地入りし、今後の対応にあたるという。

 地元の報道などによると、2人はカッパドキア観光の拠点となるギョレメから近い、日本人観光客がツアーで訪れることもあるゼミ渓谷を散策中に、何者かにナイフで襲われた。散策中の別の観光客が9日午後1時45分ごろ、2人が倒れているのを見つけて通報した。観光客が見つけた時には、栗原さんはすでに死亡していたという。

 事件の発生時刻や動機、2人を襲った容疑者が単独だったのか複数だったのかも不明という。

 寺松さんの家族によると、2人は今月6日に出国し、19日に帰国する予定だったという。

 日本政府観光局によると、トルコを訪問する日本人はここ数年増加。2008年は約15万人だったが、12年には20万人を超えた。地元関係者によると、カッパドキア周辺は観光客に高額な商品やツアーを売りつけるなどのトラブルは多いが、殺人など重犯罪は珍しく、トルコの中でも比較的治安の良い場所とされる。

 日本の外務省も、カッパドキア付近については危険情報は出していない。

 地元県知事は「今回の事件は非常に悲しい事件だ。警察は犯人を見つけるために最善を尽くす」と、地元メディアに話している。

     ◇

 〈カッパドキアの奇岩群〉 トルコ中部アナトリア高原にある観光地。火山の噴出物でできた凝灰岩の台地が風雨に浸食され、キノコ状の奇岩が連なる景観を作り出した。ローマ帝国の弾圧を逃れたキリスト教の修道士らが岩をくりぬいて住居や宗教施設を建設し、地下都市も造られた。1985年、世界遺産に登録。年間200万人が訪れると言われ、中高年から若者まで日本人にも人気がある。熱気球に乗って上空から眺めるツアーが観光の呼び物になっているが、今年5月に墜落事故も起きている。

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