Updated: Tokyo  2013/09/10 08:21  |  New York  2013/09/09 19:21  |  London  2013/09/10 00:21
 

9月9日の海外株式・債券・為替・商品市場

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  (ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。

◎NY外為:ドル下落、2年債利回り低下で-緩和縮小観測が弱まる

ニューヨーク外国為替市場ではドルが下落。米2年債利回り が2営業日連続で低下したことが背景にある。前週末発表の雇用者数が予想を下回る伸びにとどまったため、金融当局が緩和規模を縮小する際に積極的でなくなるとの思惑が広がった。

円は主要16通貨に対して下落。日本の4-6月期の国内総生産(GDP)改定値が上方修正されたことが売りを誘った。東京が2020年の夏季五輪開催地に選出され、日本政府の政策に対する楽観が高まったことも背景。豪ドルは6週間ぶり高値を付け、韓国ウォンは5月以来の高値となった。中国の輸出増加を示す統計がきっかけ。7月のカナダの建設許可件数が過去最高に増加した後、カナダ・ドルは上げ幅を拡大した。

BNPパリバの通貨ストラテジスト、バシーリ・セレブリアコフ氏(ニューヨーク在勤)は電話インタビューで、「短期金利主導でドルが上昇している」と指摘。「量的緩和の縮小を見込む声がなお主流だが、その見方に対する懐疑的な見方が強まっているようで、以前ほど明白ではない」と語った。

ニューヨーク時間午後5時現在、主要10通貨に対するドル相場を反映するブルームバーグ米ドル指数は1027.65。2営業日連続で下げ、一時は8月28日以来の水準に低下した。

円は対ドルで0.5%安の1ドル=99円58銭。対ユーロでは1%下落の1ユーロ=131円99銭。ドルはユーロに対し0.6%安の1ユーロ=1.3255ドル。

豪ドル、韓国ウォン

豪ドルは米ドルに対して0.5%高の1豪ドル=92.28米セント。一時は7月29日以来の高値を付けた。オーストラリア最大の貿易相手国である中国の輸出は8月に7.2%増加。エコノミスト予想は5.5%増だった。

韓国ウォンはドルに対して0.5%高の1ドル=1086.80ウォン。一時は1086.69ウォンと5月8日以来の高値を付けた。

日本のGDP改定値は物価変動の影響を除いた実質で、前期比年率3.8%増と、速報値(2.6%増)から上方修正された。

アルゼンチンで7日に開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、2020年夏季五輪の開催都市が東京に決まった。東京での五輪は56年ぶり。

ラボバンク・インターナショナルのシニア為替ストラテジスト、ジェーン・フォーリー氏は「オリンピックや中国の貿易統計、予想より良かった日本の成長率への関心が非常に高かった。しかし、100円を超える円安が定着するには、もう少しドルに強さが必要だ」と指摘した。今後12カ月では円は105円に下落すると予想した。

緩和縮小予想

ブルームバーグがエコノミスト34人を対象に6日まとめた調査の中央値によれば、連邦公開市場委員会(FOMC)が17-18日の会合で、債券購入プログラムを現行の月850億ドルから750億ドルに縮小すると予想されている。

エコノミスト予想によると、米国債の購入額は月450億ドルから350億ドルに減らす一方、住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れは月400億ドルで維持する見込みだ。

米2年債利回りは0.44%に低下した。6日には0.53%と、2011年以来の高水準を付けていた。

オバマ米大統領がシリアへの軍事攻撃に消極的な米世論の説得を強めたものの、ドルは軟調を維持した。シリアのアサド大統領は米国が攻撃した場合の「直接的および間接的な」報復を警告した。

BNPのセレブリアコフ氏は「リスク回避でドルは堅調になるとの見方もできる。しかし、市場はドル高のバイアスが既にかかっていたため、原油相場が上昇する可能性を意識して、ドルの強材料というよりも悪材料に恐らくなっている」と話した。

原題:Dollar Falls as U.S. Yields Drop for Second Day; AussieRallies(抜粋)

◎米国株:上昇、ダウ平均は2カ月で最大の上げ-中国輸出など好感

米株式相場は上昇。ダウ工業株30種平均は7月11日以降で最大の上げとなった。中国の8月の輸出が市場予想を上回る伸びとなったことが好感された。また企業買収を受け米経済に対する楽観的な見方も強まった。

電子部品メーカーのモレックスが急伸。コック・インダストリーズへの身売りで合意したことが好感された。アップルも上昇。同社は10日開催のイベントでスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」の新機種を発表する見通しだ。S&Pの住宅建設指数はほぼ2カ月ぶりの大幅高。デルタ航空 も買い進まれた。S&P500種株価指数の銘柄入れ替えで、BMCソフトウエアに替わり採用されたことが好感された。

S&P500種 株価指数は前週末比1%高の1671.71と、8月14日以来の高値。ダウ工業株30種平均は140.62ドル(0.9%)上げて15063.12ドルとなった。

バンヤン・パートナーズのチーフ市場ストラテジスト、ロバート・パブリク氏は「中国の輸出統計を受けたアジア市場での堅調な流れを引き継いだ」とし、「シリアに対する軍事攻撃が起きていないという事実もプラス材料になっている。市場は、米国がまだ軍事行動に出ていないことにやや安堵(あんど)している」と続けた。

S&P500種は先週1.4%上昇。シリア情勢をめぐる緊張が続く中で、経済指標が景気改善の兆候を示したことなどが背景にある。

中国輸出

中国税関総署の8日の発表によると、8月の輸出 は前年同月比7.2%増となり、ブルームバーグ・ニュースがアナリスト46人を対象に実施した市場予想の中間値である5.5%増、7月の増加幅の5.1%をいずれも上回った。輸入は市場予想を下回る同7%増にとどまった。

クーツ(ロンドン)のグローバル株式戦略部門の責任者、ジェームズ・バターフィル氏は電話取材に対し、「アジアで発表された経済指標が相場を支えているとみられるが、投資家は短期的にはシリア情勢や米金融当局の次の行動への警戒を続けるだろう」と述べた。

金融当局による量的緩和が続く中、S&P500種は今年に入り 17%上昇している。6日発表された8月の米雇用統計では、雇用者数の増加幅が市場予想に届かなかったほか、前月、前々月の増加幅も下方修正された。これを受け、緩和縮小の規模は限定されたものになるとの観測が高まった。

緩和縮小の見通し

サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は、最近の経済指標が自身の予想通り、雇用市場の緩やかな改善を示しているとの認識を明らかにした。また金融当局は、債券購入の縮小に向けて緩やかで「数段階から成る」計画を採用する公算が大きいと予想した。

ブルームバーグ・ニュースが実施したエコノミスト調査では、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で資産購入額を現在の月額850億ドルから100億ドル減らすと予想(回答した34人の中央値)されている。

S&P500種の業種別10指数 は全て上昇。中でも素材、テクノロジー、産業関連の上げが目立った。

モレックス は32%高の38.63ドル。上昇率はS&P500種の構成銘柄中でトップとなった。アップルのアイフォーンなどの製品向けに電子部品を製造するモレックスは、米持ち株会社のコック・インダストリーズに72億ドルで買収されることに合意した。

アップルは1.6%高の506.17ドル。事情に詳しい複数の関係者によれば同社は10日のイベントで、アイフォーンの廉価版および「アイフォーン5」の後継機種を発表する見通し。

デルタ航空 は9.4%高の21.76ドルと、上昇率は4月以降で最大。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが6日発表した資料によれば、銘柄入れ替えは10日の取引終了後に実施する。

原題:Dow Average Climbs Most in Two Months on China Exports,Mergers(抜粋)

◎米国債:続伸、当局者の緩和策縮小への意欲が後退との見方で

9日の米国債は続伸。先週の米雇用統計で雇用者の伸びが予想を下回ったことを受けて、当局者は今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で緩和策の縮小にそれほど積極的ではない可能性があるとの見方が広がった。

10年債利回りは低下。先週は米金融当局が債券購入プログラムを縮小する計画を発表するとの観測を背景に、10年債利回りは2011年以来初めて3%を上回った。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)の金利ストラテジスト、シャイアム・ラジャン氏(ニューヨーク在勤)は「弱い雇用統計を背景に米国債は上昇した」と述べ、「緩和策の縮小規模に関する市場関係者の予想は若干弱まった」と続けた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回り は前営業日比2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げて2.91%。同年債価格(表面利率2.5%、償還期限2023年8月)は6/32上げて96 15/32。

2年債利回りは1bp下げて0.44%。6日には0.53%と、2011年5月以来の最高をつけた。8月の月間平均は0.34%。

ボラティリティが低下

メリルリンチ・オプション・ボラティリティ・エスティメート(MOVE)指数 は100.71と、8月29日以来の最低。今月5日は2カ月ぶり高水準の114.19をつけた。

BOAメリルリンチのデータによると、米国債リターンは今年に入って4.1%のマイナスとなっている。

オバマ米大統領は議会や国民に対し、対シリア軍事攻撃を支持するよう説得を試みている。当局者が述べたところによると、大統領は10日夜に国民向けの演説を行う予定。

ブルームバーグ・ニュースが6日に実施したエコノミスト調査の中央値によると、9月17-18日のFOMC会合では米国債の購入規模を現在の450億ドルから350億ドルに引き下げる一方で、政府支援機関の住宅ローン担保証券の購入規模は400億ドルで維持すると予想されている。

エンジン全開ではない

ソシエテ・ジェネラルのトレーダー、ショーン・マーフィー氏(ニューヨーク在勤)は、「先週発表された雇用統計は全般的に予想よりも弱かった。オバマ大統領の演説を前にまだシリアへの懸念もある」と述べ、「縮小観測は根強いが、景気はまだエンジン全開ではない」と続けた。

米労働省の発表によると、8月の非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比16万9000人増加した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値は18万人増だった。家計調査に基づく失業率は7.3%に低下した。これは2008年12月以来の最低となる。

米財務省は11日に10年債(210億ドル)、10日に3年債(310億ドル)、12日に30年債(130億ドル)の入札を実施する予定だ。3年債の入札規模は過去35回はいずれも320億ドルだった。

ブリーン・キャピタルのマネジングディレクター、ラス・サー ト氏(ニューヨーク在勤)は、「これまでのニュースなどから、米国債はほぼ適正水準にある。米金融当局から明確な政策が発表されるまでこの水準で推移するろう」と述べた。さらに「緩和策縮小は第一歩に過ぎず、緩和策自体は依然として柔軟であり、景気の動向に左右されるということを金融当局は慎重に市場に伝えるだろう」と語った。

原題:Treasuries Gain for Second Day Amid Bets on Less-Aggressive Fed(抜粋)

◎NY金:ほぼ変わらず、緩和縮小めぐる観測やシリアでもみ合い

ニューヨーク金先物相場はほぼ変わらずで終了。米金融当局が今月に債券購入を縮小するのかどうかや、シリア攻撃の可能性に注目が集まる中、もみ合いとなった。

前週末は8月の米雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことを背景に、金は1%上昇したものの、当局が今月の会合で緩和縮小するとのエコノミストの見方は変わっていない。ブルームバーグがエコノミスト34人を対象に6日実施した調査の中央値によると、米連邦公開市場委員会(FOMC)は今月17、18両日の会合で債券購入を月額750億ドルと、現行の同850億ドルから縮小する見通しだ。

バークレイズのアナリスト、スキ・クーパー氏は9日付の電子メールのリポートで、「シリアに関する地政学的な緊迫の高まりが最近の金上昇の一因となってきた」と指摘。「非農業部門雇用者のデータは予想より弱かったが、今月の資産購入縮小にゴーサインを与えるには十分と当社のエコノミストは確信している」と続けた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前週末比0.1%未満上げて1オンス=1386.70ドルで終了。一時は0.3%下落し、0.6%上昇する場面もあった。

原題:Gold Steady After Price Swing as InvestorsWeigh Stimulus, Syria(抜粋)

◎NY原油:反落、米議会によるシリア攻撃承認が難航との観測

ニューヨーク原油先物相場は反落。オバマ米大統領がシリアへの軍事攻撃の必要性について議会説得に苦慮していることが売りを誘った。ロシアはシリアに対して化学兵器を放棄するよう強く求めた。

米議会では大統領に反対する声が多く、シリア攻撃が中東の石油供給に悪影響を与えるとの懸念が後退した。ロシアのラブロフ外相はシリアに対し、米国主導の軍事攻撃を回避するため、化学兵器の放棄を強く求めた。シリアのムアレム外相はロシアの提案を「歓迎」する意向を示した。

コンフルエンス・インベストメント・マネジメント(セントルイス)の市場担当チーフストラテジスト、ビル・オグレイディ氏は「シリアへの行動に関する合意の遅れは北海ブレントの下落につながり、ニューヨーク原油も押し下げている」と指摘。「オバマ大統領は厳しい状況にある。議会の賛同を得られなかった場合の悪影響は非常に大きい」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前週末比1.01ドル(0.9%)安の1バレル=109.52ドルで終えた。前週末は110.53ドルと、終値としては2011年5月3日以来の高値だった。

原題:Crude Falls From Two-Year High as ObamaPresses for Syria Action(抜粋)

◎欧州株:ほぼ変わらず、米国の対シリア軍事行動の可能性に注目

9日の欧州株式 相場はほぼ変わらず。米国が対シリア空爆を週内に決定するかが注目される中、予想を上回った中国輸出の伸びが相場を支えた。

英3位のエネルギー会社、BGグループは5.1%安。来年の生産が自社予想を下回るとの見通しが売り材料。一方、フランスの鋼管大手、バローレックは3.6%上昇。同銘柄の投資判断をケプラー・シュブルーが引き上げた。

ストックス欧州600指数 は前週末比0.1%安の305.84で終了。6日には0.5%上げていた。米雇用統計で雇用者数が予想を下回ったことから、米当局が債券購入を縮小するかどうかを見極めようとする動きが強まった。

ハーグリーブズ・ランズダウン(ロンドン)の株式部門責任者、リチャード・ハンター氏は電子メールで、「中国の経済指標がまあまあで、五輪開催決定で日本株が買われたものの、シリア情勢をめぐる不透明感の継続と米緩和策縮小の公算から欧州株はやや圧力を受けている」とし、「こうした二つの懸念のうち一つまたは両方が解決、ないしは少なくとも対応がなされるまで、遠慮がちな投資家はリスク回避の姿勢を維持する公算が大きい」と語った。

中国税関総署の8日の発表によると、8月の輸出は前年同月比7.2%増と、ブルームバーグ・ニュースがまとめたアナリスト予想中央値の5.5%増、7月の5.1%増をいずれも上回る伸びとなった。

対シリア軍事攻撃への支持を訴え、オバマ米大統領は今週、攻撃計画に懐疑的な米議会や消極論が根強い米国民に対し、最後の説得に乗り出す。先週の20カ国・地域(G20)首脳会議で、同大統領は対シリア攻撃について各国首脳を説得できなかった。

9日の西欧市場では18カ国中10カ国で主要株価指数が下落。仏CAC40指数は0.2%、英FTSE100指数は0.3%それぞれ下げた。独DAXは0.1%未満の上げとなった。

原題:European Stocks Little Changed as ChineseExports Beat Forecasts(抜粋)

◎欧州債:ドイツ10年債、ほぼ変わらず-米緩和縮小をめぐる観測で

9日の欧州債市場ではドイツ10年債が前週末からほぼ変わらずとなり、同利回りは1年5カ月ぶり高水準付近にとどまった。米金融当局が18日に債券購入プログラムの縮小を決定するかどうかが注目されている。

イタリア国債もほぼ変わらず。同国の上院委員会がベルルスコーニ元首相の議員資格を剥奪すべきかどうかの審議を開始することを背景に、連立政権の安定に影響を及ぼすとの懸念が広がった。米国債のドイツ国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)は縮小。先週末発表された米雇用統計で8月の雇用者数がアナリスト予想を下回り、米緩和縮小観測が後退したことが背景にある。ドイツ政府は11日の国債入札で10年債を50億ユーロ発行する。

クレディ・アグリコルCIB(ロンドン)の欧州金利戦略責任者、ルカ・イェリネック氏は「米雇用市場に活力がない状態が続いているという事実で、米当局の緩和縮小時期をめぐる問題が浮上している」と指摘。「縮小規模も問題だ。相場は現行水準で横ばいとなっているようで、動きそうにない」と語った。

ロンドン時間午後4時38分現在、ドイツ10年債利回りは1.95%。6日には2.05%と、2012年3月21日以来の高水準となった。同国債(表面利率1.5%、2023年5月償還)価格は96.035。

ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト34人を対象に行った調査中央値によると、来週17、18両日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では量的緩和の100億ドル縮小が予想されている。

ドイツ10年債と同年限の米国債のスプレッドは5bp縮小し93bp。8月1日は104bpだった。

英国債相場もほぼ変わらず。英公債管理局(DMO)は今週、2023年と44年償還の国債を計65億ポンド発行する。

英10年債利回り は2.94%。5日には11年7月以来の最高となる3.01%に達した。同国債(表面利率2.25%、2023年9月償還)価格はこの日、94.05。

原題:German Bonds Little Changed on Fed Taper,Berlusconi Speculation(抜粋)Pound Rises to 12-Week High as Osborne SaysEconomy Recovering(抜粋)

更新日時: 2013/09/10 07:09 JST

 
 
 
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