9月9日の米国マーケットサマリー:株が上昇、ドル下落
9月9日(ブルームバーグ):ニューヨークの為替・株式・債券・商品相場は次の通り。(表はNY午後4時現在)
為替 スポット価格 前営業日 ユーロ/ドル 1.3259 1.3178 ドル/円 99.59 99.11 ユーロ/円 132.05 130.63 株 終値 (暫定値) 前営業日比 変化率 ダウ工業株30種 15,063.12 +140.62 +.9% S&P500種 1,671.71 +16.54 +1.0% ナスダック総合指数 3,706.18 +46.17 +1.3% 債券 直近利回り 前営業日比 米国債2年物 .44% -.02 米国債10年物 2.91% -.03 米国債30年物 3.85% -.01 商品 (中心限月) 終値 前営業日比 変化率 COMEX金(ドル/オンス) 1,386.70 +.20 +.01% 原油先物 (ドル/バレル) 109.04 -1.49 -1.35%◎外国為替市場
ニューヨーク外国為替市場ではドルが下落。米2年債利回り が2営業日連続で低下したことが背景にある。前週末発表の雇用者数が予想を下回る伸びにとどまったため、金融当局が緩和規模を縮小する際に積極的でなくなるとの思惑が広がった。
円は主要16通貨に対して下落。日本の4-6月期の国内総生産(GDP)改定値が上方修正されたことが売りを誘った。東京が2020年の夏季五輪開催地に選出され、日本政府の政策に対する楽観が高まったことも背景。豪ドルは6週間ぶり高値を付け、韓国ウォンは5月以来の高値となった。中国の輸出増加を示す統計がきっかけ。7月のカナダの建設許可件数が過去最高に増加した後、カナダ・ドルは上げ幅を拡大した。
BNPパリバの通貨ストラテジスト、バシーリ・セレブリアコフ氏(ニューヨーク在勤)は電話インタビューで、「短期金利主導でドルが上昇している」と指摘。「量的緩和の縮小を見込む声がなお主流だが、その見方に対する懐疑的な見方が強まっているようで、以前ほど明白ではない」と語った。
ニューヨーク時間午後3時1分現在、主要10通貨に対するドル相場を反映するブルームバーグ米ドル指数は1027.24。2営業日連続で下げ、一時は8月28日以来の水準に低下した。
円は対ドルで0.5%安の1ドル=99円57銭。対ユーロでは1.1%下落の1ユーロ=132円12銭。ドルはユーロに対し0.7%安の1ユーロ=1.3269ドル。
◎米国株市場米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は5営業日続伸となった。中国の8月の輸出が市場予想を上回る伸びとなったことが好感された。また企業買収を受け米経済に対する楽観的な見方も強まった。
ニューヨーク時間午後4時過ぎの暫定値では、S&P500種 株価指数は前週末比1%高の1671.71。ダウ工業株30種平均は0.9%上げて15063.12ドル。
バンヤン・パートナーズのチーフ市場ストラテジスト、ロバート・パブリク氏は「中国の輸出統計を受けたアジア市場での堅調な流れを引き継いだ」とし、「シリアに対する軍事攻撃が起きていないという事実もプラス材料になっている。市場は、米国がまだ軍事行動に出ていないことにやや安堵(あんど)している」と続けた。
S&P500種は先週1.4%上昇。シリア情勢をめぐる緊張が続く中で、経済指標が景気改善の兆候を示したことなどが背景にある。
◎米国債市場9日の米国債は続伸。先週の米雇用統計で雇用者の伸びが予想を下回ったことを受けて、当局者は今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で緩和策の縮小にそれほど積極的ではない可能性があるとの見方が広がった。
10年債利回りは低下。先週は米金融当局が債券購入プログラムを縮小する計画を発表するとの観測を背景に、10年債利回りは2011年以来初めて3%を上回った。
バンク・オブ・アメリカ(BOA)の金利ストラテジスト、シャイアム・ラジャン氏(ニューヨーク在勤)は「弱い雇用統計を背景に米国債は上昇した」と述べ、「緩和策の縮小規模に関する市場関係者の予想は若干弱まった」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回り は前営業日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げて2.9%。同年債価格(表面利率2.5%、償還期限2023年8月)は1/4上げて96 17/32。
◎NY金先物市場ニューヨーク金先物相場はほぼ変わらずで終了。米金融当局が今月に債券購入を縮小するのかどうかや、シリア攻撃の可能性に注目が集まる中、もみ合いとなった。
前週末は8月の米雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことを背景に、金は1%上昇したものの、当局が今月の会合で緩和縮小するとのエコノミストの見方は変わっていない。ブルームバーグがエコノミスト34人を対象に6日実施した調査の中央値によると、米連邦公開市場委員会(FOMC)は今月17、18両日の会合で債券購入を月額750億ドルと、現行の同850億ドルから縮小する見通しだ。
バークレイズのアナリスト、スキ・クーパー氏は9日付の電子メールのリポートで、「シリアに関する地政学的な緊迫の高まりが最近の金上昇の一因となってきた」と指摘。「非農業部門雇用者のデータは予想より弱かったが、今月の資産購入縮小にゴーサインを与えるには十分と当社のエコノミストは確信している」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前週末比0.1%未満上げて1オンス=1386.70ドルで終了。一時は0.3%下落し、0.6%上昇する場面もあった。
◎NY原油先物市場ニューヨーク原油先物相場は反落。オバマ米大統領がシリアへの軍事攻撃の必要性について議会説得に苦慮していることが売りを誘った。ロシアはシリアに対して化学兵器を放棄するよう強く求めた。
米議会では大統領に反対する声が多く、シリア攻撃が中東の石油供給に悪影響を与えるとの懸念が後退した。ロシアのラブロフ外相はシリアに対し、米国主導の軍事攻撃を回避するため、化学兵器の放棄を強く求めた。シリアのムアレム外相はロシアの提案を「歓迎」する意向を示した。
コンフルエンス・インベストメント・マネジメント(セントルイス)の市場担当チーフストラテジスト、ビル・オグレイディ氏は「シリアへの行動に関する合意の遅れは北海ブレントの下落につながり、ニューヨーク原油も押し下げている」と指摘。「オバマ大統領は厳しい状況にある。議会の賛同を得られなかった場合の悪影響は非常に大きい」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前週末比1.01ドル(0.9%)安の1バレル=109.52ドルで終えた。前週末は110.53ドルと、終値としては2011年5月3日以来の高値だった。
更新日時: 2013/09/10 06:05 JST