【宮嶋加菜子】自宅の一室で、開業する「おうち教室」が子育て中の母親の間で広がっている。「サロネーゼ」とも呼ばれる女性たち。子どもと過ごす時間を確保しながらの小さな起業で、敷居も下がってチャレンジしやすいようだ。
子育てママを応援 Mスタ8月下旬。昼前の横浜市港北区のマンションの一室に笑い声が響いた。長坂舞由子さん(34)が2LDKの自宅和室で開いているベビーマッサージ教室「ベビーノア」のレッスン。この日は親子2組が参加した。
「おなかのへそ回りをゆーっくりマッサージして下さい。時計回りに。便秘の赤ちゃんに効果があるんですよ」「足の裏をぽんぽん。リズムよくすると赤ちゃんも喜びますよ」。約40分かけて全身のマッサージ方法を教えた。
マッサージを終えると、お茶を飲みながらおしゃべり。最近オープンした近くのショッピングセンターや、子ども連れで気軽に行けるレストランの話などで盛り上がった。
2回目の参加という母親は「一日中赤ちゃんと2人きりだと何をしていいか分からなくなる。家から近いし、ママも赤ちゃんも刺激になって、楽しい場所です」。10月に長坂さんが企画している赤ちゃんとママの撮影会の予約も入れた。
長坂さんは、夫と4歳の長男、2歳の長女の4人暮らし。夫は転勤族で、名古屋から引っ越してきた。長男の出産を機に仕事を辞め、「もう一度働きたい」と思ったが、実家は札幌で頼れない。家でできる仕事はないかと考えた時、出会ったのがベビーマッサージだった。
長女を妊娠中に、横浜市都筑区の教室で講師養成講座を受講し、2年前に自宅で教室を始めた。
火曜日と木曜日だけ長女を保育所に預け、レッスンを開く。基本の「おうち教室レッスン」(90分)は1回3500円。月によって波はあるが、収入は月7、8万円ほど。出張レッスンや、レストランでのランチ付き、親子撮影会付きレッスンなどの企画も人気だ。企画の内容は、子育ての中で感じた「こんな場所があればいいのに」という思いが原点という。
「子どもと過ごす時間を大事にしながら、子育ての経験を生かして収入も得られる。転勤でどの街に行ってもできる。今の仕事のスタイルに出会えて満足しています」