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  善 正 寺 (左京区)

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善正寺・学室石碑


「妙慧山 善正寺」の寺号板


「豊臣秀次公、村雲門跡瑞龍寺 御墓所」の寺号板
 善正寺(ぜんしょうじ)は、金戒光明寺の西の高台に建つ。豊臣秀吉の実姉・智(とも、日秀尼)、その子・秀次にまつわる寺になっている。山号は妙慧山。
 日蓮宗、本尊は三宝尊。
◆歴史年表 創建の詳細は不明。
 かつて、法勝寺の西にあり、善勝寺と称したともいう。藤原保卿の建立によるという。後に善正寺と改め、日蓮宗に改宗したともいう。(「雍州府志」中「薩戒記」の引用)
 安土・桃山時代、1595年、日秀尼は自害した子・豊臣秀次の菩提を弔うため、嵯峨亀山に一宇を建立する。
 1600年、現在地に移転した。日秀尼は本圀寺・28世・日鋭を開基とし善正寺を建立した。寺号は、秀次法名「善正院殿高岸道意」によるという。本圀寺に属した。(「拾遺都名所圖會」巻2)
 江戸時代、1624年、4世・日演が中興し、東山檀林を開檀する。山城国六檀林の一室となる。
 近代、1872年、学制発布により東山檀林は廃檀する。
◆日秀尼 安土・桃山時代から江戸時代の尼僧・日秀尼(にっしゅうに、1533-1625)。尾張に生まれた。豊臣秀吉の姉で俗名は智(とも)という。武将・三好吉房に嫁ぎ、豊臣秀次ら3人の子を生む。1595年秀次が秀吉に切腹させられる。本圀寺の日禎(にちじょう)に得度を受け、瑞龍院妙慧日秀と名乗った。嵯峨・善正寺、村雲に瑞竜寺の二寺を開く。
◆豊臣秀次  安土・桃山時代の武将・豊臣秀次(1568-1595)。父は三好吉房、母は豊臣秀吉の姉・瑞竜院日秀。初め宮部継潤の養子、後に三好康長(笑厳)の養子となる。
 1584年の小牧・長久手の戦で指揮を誤り戦死者を多く出す。1585年羽柴の名字を許され、秀吉の諱の一字より秀次と名乗り、近江八幡山の城主となる。1591年秀吉は淀殿との間に生まれた鶴松を3歳で失う。秀吉は秀次を養子とし、関白職を秀次に譲り豊臣家を継がせる。秀吉自らは太閤と称した。だが、1593年に淀殿が秀頼を生む。秀吉は秀次に関白職を譲ったことを悔やむ。秀頼と秀次の娘との婚約を勧めたものの、秀吉と秀頼の間に亀裂が入る。1595年秀吉は秀次に反逆の疑いをかけ、高野山青厳寺へ追放、さらに切腹の命を下す。秀次は自害した。享年28歳。秀次の五家臣も殉職している。
 秀次については暗殺説もある。多才な人物で剣術や歌道をよくし、名筆や古典籍を収集するなど文化的趣味も豊かであったという。
◆木像 本堂に日秀が安土・桃山時代、1597年に彫らせた秀次公木像、1601年に彫らせた自像の日秀像が安置されている。
◆建物 本堂、大師堂、善正殿(秀次廟)は近年建立された。ほかに鐘楼、庫裏などが建つ。
◆瑞龍寺 日秀尼は日蓮宗の瑞龍寺(ずいりゅうじ)というもう一つの寺も建立している。現在、滋賀県近江八幡市に移されている。正式には、村雲御所瑞龍寺門跡瑞龍寺という。
 寺は当初、嵯峨の村雲(現在の二尊院付近)に開いた。安土・桃山時代から江戸時代初期の第107代・後陽成天皇(在位1586-1611)により村雲の寺地、瑞龍寺の寺号、寺領1000石を贈られた。日秀尼は自らの菩提寺とした。皇女や公家子女が入寺、住職となり尼門跡となる。村雲卸所とも呼ばれた。
 江戸時代、西陣(堀川今出川付近)に移転している。現代、1961年、堀川通の拡張工事に伴い、豊臣秀次ゆかりの八幡山城本丸跡(滋賀県近江八幡市)へ再移転した。当時の11世門跡・九条日浄尼代(1896-1962)が中興し、移転に尽力したという。
 善正殿(秀次廟)に秀次の供養墓(五輪塔)、日秀尼(1世・瑞龍院日秀尼)、一族の供養塔が立つ。
 歴代として、2世・瑞円院日怡尼(九条幸家三女)、3世・瑞照院日通尼(二条康道子女)、4世・瑞法院日寿尼(鷹司教平の女子)、5世・瑞現院日顕尼(鷹司房輔の女子)、6世・瑞應院日慈尼、7世・瑞妙院日護尼(二条吉忠の女子)、8世・常孝院日照尼(有栖川宮音仁親王王女・茂美宮)、9世・瑞政院日尊尼(伏見宮貞敬親王王女・為宮)、10世・瑞法院日栄尼(伏見宮邦家親王王女・万佐宮)、11世・瑞珠院日浄尼(仙石政敬の女子)、12世・瑞興院日英尼(小笠原長幹の女子)、13世・瑞華院日凰尼(桜緋紗子)など。 

*非公開。境内の撮影禁止。
*参考文献 『京都の寺社505を歩く』

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公式サイト
地図善正寺 京都市左京区岡崎東福ノ川町9   075-771-0859

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