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「遅発性」白血病の原因解明=長期影響受ける遺伝子特定―広島大

時事通信 9月10日(火)1時4分配信

 広島、長崎の原爆被爆者の中には、数十年以上経てから白血病や骨髄異形成症候群(MDS)と呼ばれる「血液のがん」を発症する人も多いが、広島大の研究チームはこうした「遅発性」の白血病などの原因遺伝子を特定し、米科学誌キャンサー・セル電子版に10日、発表した。
 被爆者や放射線治療などで大量の放射線を浴びた人の中には、長期間たってから白血病やMDSを発症する例が多く、急性の発がんとは別のメカニズムがあると考えられてきた。成果は、被爆者の健康管理や白血病の早期発見、予防法確立に役立つと期待される。
 広島大原爆放射線医科学研究所の稲葉俊哉教授と本田浩章教授らの研究チームは、MDSの患者に多い7番染色体の異常を調べ、同染色体上のSamd9Lという遺伝子に着目。共通の遺伝子を持つマウスを使い、Samd9Lを人為的に欠損させて影響を調べた。
 その結果、通常のマウスは生後25カ月経過しても白血病やMDSで死亡したのは28匹中2匹(発症率約7%)だったのに対し、1対のSamd9Lの片方を欠損させたマウスでは19匹中10匹(同53%)、両方を欠損したマウスは15匹中9匹(同60%)だった。
 どのマウスも1年未満の死亡例はなく、ほかの悪性腫瘍もほとんどないため、Samd9Lの欠落が長期間経過後の白血病発症に関わっている可能性が示唆された。
 白血病などは、血液を作る造血幹細胞の異常な増殖が原因となっているが、Samd9Lは幹細胞の増殖可能な時間を調整している。稲葉教授は「他の遺伝子よりもがんを発生させる力は弱いが、それが長期間にわたる影響をもたらすことと関連しているのではないか」と話している。

最終更新:9月10日(火)1時8分

時事通信

 

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