薬
- 薬
病気の治療や予防などを目的に投与されるもの。日本の場合、縄文時代の遺跡から、薬として使われたと見られる草が発見されている。
薬の種類として、医師の処方箋(せん)が無ければ買えない「医療用医薬品」、医師の処方箋が必要とせずにドラッグ・ストアなどで購入できる「一般用医薬品」がある。一般医薬品は、(1)特に安全性の注意が必要な成分を含む「第一類医薬品」(2)薬の副作用で日常の生活に支障が出るほどの健康被害が出る恐れがあるが、第一類でないもの(3)第一類、第二類以外の一般用医薬品――に分けられる。
販売できるのは薬剤師が常駐する薬局などだけ。第二類、第三類は、薬剤師だけでなく、「登録販売者」の資格者でも売ることができる。
【症状】病気によって異なる。
【診療科】病気によって異なる。一般的には内科、小児科など。
■このページからご覧になれる記事を、期間限定で無料公開中です。医療大全のすべての記事をご覧になるには、有料登録が必要です。「有料登録するとこんなに便利!」はこちら。登録手続きはこちら。
シリーズ
- 処方薬への依存(4)過剰服薬 死亡の患者も
- 救急患者への対応に連日追われる上條さん(相模原市の北里大病院で)
「精神科の不適切投薬が原因の自殺がある。精神科医は自覚するべきだ」
2013年5月、福岡市で開かれた日本精神神経学会学術総会のシンポジウム。北里大病院救命救急センター医師の上條吉人さんが語気を強めた。会場は厳しい指摘に静まりかえった。
同センターは相模原市で3次救急を担い、24時間体制で重篤な患者に対応している。運び込まれる人の10~15%が「自殺企図」および「自傷行為」の患者で、このうち半数(全体の5~7%)を処方薬の過量服用患者が占めている。
「救急医の奮闘を尻目に過量服用患者を次々と生み出し、患者への処方を問い合わせようとしても、夜間や土日は電話もつながらない精神科医たちがいる」
精神科での診療経験もある上條さんは、そんな不満を募らせている。
過量服薬により致死的状態で運び込まれる患者は、バルビツール酸系睡眠薬や、三環系抗うつ薬を飲んでいることが多い。バルビツール酸系睡眠薬は呼吸停止、三環系抗うつ薬は深刻な不整脈やけいれん発作を招きやすい。
情緒不安定のため精神科に通院し、バルビツール酸系睡眠薬などを服用していた20歳代の女性は、処方薬依存症に陥った。過量服薬や手首を切る自傷行為を繰り返したが、精神科では多剤大量処方が続いた。女性はバルビツール酸系睡眠薬を一度に多く飲み、自宅で心肺停止状態にあるところを発見された。同センターに運ばれ、上條さんらが懸命の救命措置を行ったが、低酸素脳症で死亡した。
この女性は、自宅にバルビツール酸系睡眠薬を多くためていた。「薬の乱用や過量服薬の恐れがある患者に、危険な薬を出すこと自体、考えられないが、精神科では、致死量の薬を1回で出す許し難い処方もしばしば見られる。規制が必要だ」と上條さんは訴える。
ベンゾジアゼピン系薬剤の過量服薬で、同病院に運び込まれる患者も多い。バルビツール酸系のように強い致死性はないが、服薬後に人が変わって妻への暴力を繰り返したり、急に死にたいという感情が湧き、自殺を図ったりする人もいる。「酒と同じ部分に働くので、人によっては
酩酊 して感情の抑制がきかなくなったり、衝動的になったりする」と上條さんは指摘する。救急医が患者をいくら救命しても、精神科で依存性や致死性が高い薬が大量処方され続ける限り、過量服薬の病魔から患者を救うことはできない。
バルビツール酸系睡眠薬 ベンゾジアゼピン系の睡眠薬が登場するまで盛んに用いられた薬で、依存性や副作用が強い。抗精神病薬などを合わせた合剤ベゲタミンは、現在も多く処方されている。
(2013年8月23日 読売新聞)
治療
- 時間医療…生体リズムに合わせて服薬(2012年9月15日)
- 検討会議 承認を後押し(2010年9月30日)
- 国際共同治験 早い承認(2010年9月29日)
- 医療技術 実用化で遅れ(2010年9月28日)
- 抗がん剤 欧米と承認格差(2010年9月27日)
- 難病の薬 「早く承認を」(2010年9月24日)
付き合い方
- 製薬業界団体が情報公開指針… 研究費の提供 透明性高まるか(2011年3月31日)
- 安価な後発医薬品… 「添加物で副作用」 指摘も(2010年9月9日)
シリーズ
- 処方薬への依存(1)疲労、耳鳴り…異変次々(2013年8月20日)
- 処方薬への依存(2)断薬決意 苦痛耐え抜く(2013年8月21日)
- 処方薬への依存(3)善悪の判断鈍って窃盗(2013年8月22日)
- 処方薬への依存(4)過剰服薬 死亡の患者も(2013年8月23日)
- 処方薬への依存(5)診療科問わず減薬指導(2013年8月26日)
- 高齢者と薬(1)睡眠薬で認知機能低下も(2013年1月15日)
- 高齢者と薬(2)血糖値下げすぎで昏睡(2013年1月16日)
- 高齢者と薬(3)睡眠薬に転倒のリスク(2013年1月17日)
- 高齢者と薬(4)過剰な抗精神病薬 活力奪う(2013年1月18日)
- 高齢者と薬(5)「飲み忘れ」防ぐ一工夫(2013年1月21日)
- 高齢者と薬(6)Q&A 服用 医師との相談重要(2013年1月22日)
- ジェネリック(5)高額な薬ほど節減効果(2011年9月5日)
- ジェネリック(4)薬価低く出回らぬ物も(2011年9月2日)
- ジェネリック(3)先発薬にはない工夫も(2011年9月1日)
- ジェネリック(2)ネットで検索 差額計算(2011年8月31日)
- ジェネリック(1)効き目は同等 安価な薬(2011年8月30日)