宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8日、8月27日に打ち上げ中止した新型ロケット「イプシロン」に対策を施し、打ち上げ直前までを模擬したリハーサルを実施した。中止の原因となったロケットと地上のコンピューターの信号のやりとりのずれをソフトウエアで修正する対策を取った。リハーサルの結果が判明するのは早くても2日後の見通しだが、結果に問題がなければ、打ち上げ日を早急に決定する。
JAXAは8日、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所でイプシロンを発射台に載せ、打ち上げ直前までの手順に沿ったリハーサルを実施した。午前10時半過ぎにイプシロンは整備棟から発射台に移動。約20分かけて発射台が反時計回りに回転し、イプシロンは発射点についた。
前回のリハーサルが打ち上げ18秒前までだったのに対し、今回は同5秒前まで実施。前回は実施しなかった一段ロケットのノズルを動かす熱電池の起動や、ロケットの回転(ロール)を制御するサイドジェットモーターに点火信号が伝わるかどうかなどを確認。点検作業の打ち上げ想定時刻である午後1時45分まで、作業は順調に進んだ。
リハーサルの結果をJAXAは10日まで分析。問題がなければ、打ち上げ日も早急に決定する方針だ。
イプシロンは8月27日に打ち上げる予定だったが、発射19秒前に自動停止した。
JAXAによると、発射20秒前に地上側コンピュータがロケットに指令を送って搭載しているコンピューターを起動。ロケットのコンピューターが傾きなどのデータを地上のコンピューターに送り、問題がないか判定する仕組みになっている。地上のコンピューターは指令を出した1秒後に、ロケットからデータを受け取る設定になっていた。
ところが、ロケットのコンピューターに指令が届くまでに0.07秒余計にかかり、地上側コンピューターはデータが届く前に判定を始めてしまった。このため、ロケットは正しい姿勢だったにもかかわらず異常と判断し、自動停止したとみられる。
今回は地上のコンピューターが指令を出してからではなく、ロケットのコンピューターが起動してから1秒後に地上のコンピューターがデータを受け取るように修正した。
JAXAは他部門の専門家を交え、十数人による検証チームを作り、全体を再点検し、対策を施した。
コンピューター、イプシロン、JAXA、ロケット、ソフトウエア
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