ドコモがiPhone販売 スマホ、サービス競争に

3社、価格戦略に腐心

2013/9/7 2:02

 NTTドコモが米アップルのスマートフォン(スマホ)「iPhone(アイフォーン)」を発売する見通しとなり、国内携帯電話会社の顧客争奪戦は一変する。大手3社が今秋冬商戦でiPhone新モデルをそろって扱えば、消費者は端末で通信会社を選ばなくなる。各社の競争はサービスや通信品質の充実を争うステージに移行する。

 米国ではすでに最大手のベライゾン・ワイヤレスなど主要携帯会社4社がそろってiPhoneを扱う。ソフトバンクが買収した3位のスプリントは7月に、従来より3割安く通話やデータ通信が使い放題になる定額プランを採用。これに対抗し他社が新たな割安プランを導入している。料金がほぼ横並びの日本でも再び料金競争が始まる可能性が高い。

 ドコモはiPhoneで顧客流出を防ぎ、加入者を増やす狙いがある。ただ、争奪戦が行き過ぎると収益力を損ねるリスクもある。むしろ、顧客を奪ってドコモとの利益格差をつめてきたソフトバンクとKDDI(au)が対抗値下げの余力を蓄えつつある。

 値下げはこの2社が先行。ドコモは両社の価格をにらみつつ、割安な料金プランの導入や端末価格の値引き幅を決める構図となりそうだ。

 ソフトバンクはKDDIがiPhoneの販売を始めた2011年、iPhoneを新機種に買い替える際に、旧機種のローン残債を帳消しにする対策などを打ち出した。追加販促費は3カ月間で約300億円。今回も多額の販促費を投じるとみられる。サービスの充実度も競争力を左右する。iPhoneでは「iTunes(アイチューンズ)ストア」などアップルの基本ソフト(OS)に対応した配信サービスを使うため、通信会社は独自性を打ち出しにくいとされる。各社は端末やOSに左右されず、ネットにつながれば利用できるクラウド型のサービスで独自色を打ち出す。

 ドコモは現在の「SPモードメール」の後継としてネット経由で使うクラウド型の「ドコモメール」を10月下旬に始める。iPhoneでも現在のアドレスを変えずにメールを使えるようにするとみられる。

 ドコモは音楽や動画を販売する独自の電子商取引(EC)サイト「dマーケット」もiPhoneで使えるようにすることでアップルと大筋合意したもよう。ドコモはEC事業を拡大して他社との独自性を打ち出す。

 快適な通信のためのインフラ整備も加速する。iPhoneの新モデルは電波が届きやすい「プラチナバンド」と呼ばれる800メガヘルツ帯の周波数に対応するとの見方が優勢。KDDIは同周波数の通信インフラを先行して整備、広い地域をカバーできるという。田中孝司社長は「iPhoneが800メガヘルツ帯に対応すれば当社の勝ち」と自信を見せる。

 6日の東京株式市場ではドコモ株が一時4%高まで上昇。ソフトバンクとKDDIはそろって一時3%安まで下げた。ただ、終値ではともに下げ幅を縮めた。「通信品質でも各社の差は縮まっており、iPhone発売だけで流出した顧客の多くがドコモに戻るところまではいかない」(国内証券)との指摘もある。

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