三重・朝日の女性遺体:中3女子と断定 強盗殺人「帰る」直後
毎日新聞 2013年08月31日 東京朝刊
三重県朝日町埋縄(うずなわ)の空き地で29日、若い女性の遺体が見つかった事件で、県警は30日、遺体は25日夜から行方不明になっている同県四日市市立朝明(あさけ)中学3年、寺輪(てらわ)博美さん(15)=同市山村町=と断定した。死因は窒息死で、25日深夜に殺害されたとみられる。現場付近で見つかった寺輪さんの財布から現金が無くなっており、県警は、強盗殺人と死体遺棄容疑で四日市北署に特別捜査本部を設置した。【永野航太、谷口拓未】
特捜本部によると、寺輪さんと遺体の指紋が一致した。死因は窒息死だったが、首を含め体には目立った外傷はないため、口や鼻をふさがれたり、口内に詰め物をされた可能性があるという。
遺棄現場周辺には寺輪さんの財布や携帯電話、かばん、衣服、サンダルが放置されていた。財布には約1万円が入っていたとみられるが、現金は全て抜き取られていた。
寺輪さんは25日、同市富州原町の大型商業施設屋上で花火大会を見た後、JR富田駅から列車に乗ってJR朝日駅(朝日町)に到着。午後10時半ごろ、一緒に花火見物をした友人の少女と近くのスーパーで別れ、姉に無料通信アプリ「LINE」(ライン)で「帰る」と連絡した。さらに同55分ごろ、別の同級生の女子生徒がLINEで「私今からカラオケ行く」とメッセージを送り、寺輪さんから「いいね」とすぐに返信が入った。だが、午後11時17分に姉が電話をかけると、寺輪さんの携帯電話は電源が切れた状態だった。
捜査員が朝日駅から遺体発見現場まで歩いて検証したところ、約20分で到着したことから、特捜本部は寺輪さんが現場付近で同級生にLINEで返信をした直後に襲われたとみている。寺輪さんの遺体は29日午後2時半ごろ、家族からの捜索願を受けて周辺をパトロールしていた警察官が見つけた。
◇「新体操好き、やめられない」 同級生ら「友だち多かった」
花火の楽しい思い出を胸に、自宅へ急いでいた若い命を奪ったむごたらしい事件。地元には大きな衝撃と動揺が広がり、同級生らは「明るく元気」「気さく」「友人が多かった」と寺輪さんをしのんだ。