中国人の糖尿病有病率11.6%、米国人を上回る

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  • LAURIE BURKITT

 中国は今では、世界で糖尿病患者が最も多い国だ。既に糖尿病にかかっているか、初期の兆候を示している人々の数は米国の人口を上回る。

Agence France-Presse/Getty Images

北京の糖尿病対応病院で病室に入る糖尿病患者の男性(4日)

 ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(JAMA、米国医師会雑誌)に掲載された調査によると、中国の18歳以上の成人の推定1億1390万人(内訳:男性6050万人、女性5340万人)が2010年に糖尿病を発症していた可能性がある。この調査は同年に中国の成人約9万9000人を対象に実施された。同調査によると、10年には4億9340万人の中国人が前糖尿病(血糖値が通常を上回る水準にあり潜在的にリスクの高い状態)の状況だった可能性がある。

 この結果は驚くべきで、中国が国民の大きな健康問題に直面していることを示唆していると調査報告書は指摘している。さらに「こうしたデータでは、中国の一般国民の糖尿病が警戒水準に達している可能性があり、効果的な国を挙げての予防策なしには、近い将来に同国で循環器疾患や脳卒中、慢性腎疾患などの糖尿病関連の合併症がまん延しかねないことが示唆されている」と明らかにした。

 さらにこの調査によると、中国人は米国人と比較して、低い肥満度指数で糖尿病を発症している。さらに、糖尿病は都市部で、しかも、太り過ぎの若年・中年層に一段と多いことが分かった。

 人口約13億4000万人の中国には、過去10年間に巨額の富が集まったが、国民が豊かになるにつれて、食習慣や都市部への移住などライフスタイルに大幅な変化が生じ、国民の健康が危険にさらされている。中国保健省の統計によると、死亡の主因は感染症や食生活に関連した欠乏症から、高血圧や肥満へとシフトし、今では国民のうち2億6000万人以上が慢性疾患にかかっている。

 調査によると、成人の糖尿病有病率は11.6%で、男性が12.1%と女性の11%を上回っていた。JAMAに発表されたこれ以前の調査によると、07年は9.7%(成人9240万人)だった。また、米国糖尿病学会(ADA)の統計によると、米国の20歳以上の成人の糖尿病有病率は11.3%。

 中国の医療保険システムがこうした高まる負担にどう対処できるかは疑問だ。世界保健機関(WHO)によると、既に、中国政府による医療関連支出の80%超が国民の慢性疾患に関連した費用に回されている。また、WHOによると、第1次予防に向けられているのは2%未満だ。

 また、今回の調査で、糖尿病にかかっている中国人の推定30%が自分の健康状態を認識していることが明らかになった。

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