現代・起亜自動車の米国市場でのシェアが2011年5月の10.1%から今年8月には7.9%に低下し、順位も5位から7位に転落した。先月の米国自動車市場の販売総数は昨年に比べ16.8%も増え、6年ぶりに過去最高を記録。ゼネラルモーターズ(GM)、フォード、クライスラーのいわゆる「ビッグスリー」は12-15%、トヨタ、日産、ホンダなど日本メーカー各社は22-27%販売台数を伸ばした。これに対して現代・起亜自の増加率は6.8%にとどまり、シェアと順位の双方で他社に差を付けられた。現代・起亜自は欧州市場でのシェアも昨年末の7%から最近は6.2%にまで低下している。
日米の自動車メーカー各社はリーマンショックや大規模リコール、東日本巨大地震などの衝撃から徐々に立ち直りを見せて競争力を取り戻しているのに対し、現代・起亜自は世界市場の変化に対応できないまま、労働組合による特別勤務の拒否や部分ストなどの追い打ちもあって生産が思うように進まない状況だ。米国メーカー各社はリーマンショック後、工場の閉鎖やリストラなど厳しい改革に取り組み、また全米自動車労組(UAW)の譲歩もあって労働力の柔軟性を高めることにも成功し、生産性が大きく改善された。日本メーカー各社も海外での生産割合を増やすと同時に、積極的な販売戦略を相次いで打ち出し巻き返しを図っている。
現代自は今年上半期、労組が週末の特別勤務を拒否したのに加え、最近は賃金・労働協約交渉をめぐり部分ストに突入。それらの影響もあって、生産台数の減少は13万3000台以上に達している。金額にすると2兆7000億ウォン(約2450億円)で、これは過去最大規模の損失額だ。その結果、今年1月から8月までの現代自の輸出は前年同期に比べて8%も減少した。国内での生産台数の減少は海外生産で穴埋めしようとしたが、必要な台数全てを確保することは到底できず、なすすべもないまま日米の自動車メーカーに市場を奪われる結果となってしまった。
現代自は今月5日に組合側と暫定合意に至ったことを受け、ひとまず長期ストだけは回避できた。定年延長や、大学に進学しなかった組合員家庭の子どもへの技術取得支援金1000万ウォン(約91万円)支給など、論外とも言える要求は受け入れることなく、昨年と同じレベルで交渉に決着をつけることに成功したのだ。しかし、今回の合意で直ちに現代自の競争力を回復させ、先進国でのシェアを再び奪い返すのは難しいだろう。国内工場の生産性が海外工場や先進各国のメーカーに比べてあまりにも低下し、このままの状態で国内での生産台数を増やせば、競争力がさらに低下してしまうのは避けられないからだ。現代自労組はストによって自分たちが得るものと失うものばかりを計算し、旗を振るような時ではない。自ら崖っぷちに立たされている事実をしっかりと直視しなければならない。