北陸新幹線:入札直前、1社残し辞退 不自然な動き何度も
毎日新聞 2013年09月05日 07時21分
独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(横浜市)が発注する北陸新幹線の融雪設備工事の談合疑惑で、業者が直前に1社を残して一斉に辞退する不自然な入札が繰り返されていたことが分かった。公正取引委員会は、談合が成立したため落札業者以外が退いたとみて関係者の事情聴取を進める。
談合の疑いがあるのは、4日に独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で公取委の強制調査を受けた高砂熱学工業(東京都千代田区)、朝日工業社(同港区)など十数社。
機構の入札経過調書によると、2011年10月に3社が参加した入札では、全社が予定価格を上回って成立せず、再入札では2社が辞退。残った1社は予定価格に極めて近い99.4%という高額で落札した。
12年度は同様の不自然な入札が3件あった。2〜5社が参加を申し出たが、いずれも受注した1社を除いた全社が直前に辞退し、落札率は95〜99%になった。入札はいずれも同機構の東京支社が発注していたが、同支社は「辞退の理由は確認していないので分からない」としている。
工事関係者によると、融雪設備工事は温水パネルなど専門的な技術が必要で、入札に参加できる業者は限定される。公取委は限られた業者の間で独自の談合ルールが決められていたとみて調べるとともに、機構職員から予定価格の漏えいがなかったかも確認する。【古関俊樹】