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朝鮮人名義の貯金通帳数万冊を無断保管

 戦時中に日本各地の企業に強制連行されるなどした朝鮮人名義の数万冊の郵便貯金通帳が、本人に無断でゆうちょ銀行福岡貯金事務センター(福岡市)に集約、保管されていることが7日、ゆうちょ銀への取材で分かった。貯金はほとんどが戦時中の未払い賃金とみられる。

 戦時下の労働事情に詳しい守屋敬彦・元佐世保高専教授(近現代史)によると、当時、企業の多くは逃亡を防ぐため賃金の全額を朝鮮人労働者に渡さず、一定額を郵便局などに強制貯金していた。郵便貯金の多くは終戦時の混乱で本人に渡されず、戦後も通知されなかった。

 ゆうちょ銀行広報部は「判読できないものもあり、現在も整理中」と話しているが、詳細な冊数や残高の総額、整理の見通しなどを尋ねる取材に回答していない。

 今後、仮に韓国などで当時の労働者本人が返還を求めても、個人の請求権は消滅したとする1965年の日韓請求権協定が壁となり、返還されるかどうかは不透明だ。

 通帳が福岡に集約された経緯について、市民グループ「強制動員真相究明ネットワーク」(神戸市)が入手した二つの日本政府文書「韓国人の在日資金の調査について」(51年)と「韓国人の在日貯金通帳の処理について」(52年)は、当時の郵政省が全国の労働基準局を通して各企業から集めると記載。その後の民営化でゆうちょ銀に引き継がれた。

 戦時中の郵便貯金をめぐっては、今回の数万冊以外に、2種類が「郵便貯金・簡易生命保険管理機構」(東京)に保管されていることが判明している。一つは旧日本軍の軍人・軍属が戦地で利用した「軍事郵便貯金」約70万口座の約21億円。もう一つは朝鮮や台湾、南洋諸島などの支配地域で利用された「外地郵便貯金」約1800万口座の約22億円。いずれも日本人も含めて払い戻しは進まず“塩漬け”状態となっている。(共同)

 [2013年9月7日19時51分]

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