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【モータースポーツ】

<遠藤智のGP_Circus>ペドロサのちゃっかりシャンパンファイト

2013年9月8日 11時38分

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 シルバーストーンで行われた第12戦イギリスGP(9月1日決勝)で、ロレンソが6戦ぶりに優勝、今季4勝目を挙げた。この数年、優勝したときに、表彰台の一番上から豪快にジャンプするのが、ロレンソの得意技というか、お約束のパフォーマンス。トロフィーを受け取り国歌が流れた後に、「いえーい!」なのか「よっしゃー!」なのかはわからないが、こんな感じで飛び上がってくれるのだ。

 お決まりのパフォーマンスになっているので、パーマネントパスを持つカメラマンたちは、飛ぶぞと飛ぶぞ飛ぶぞぉ〜〜〜と待ち構え、撮り逃すことはないのだが、通信社などそのグランプリだけ取材に来ているカメラマンたちは、油断しているときに「いえーい」と飛び上がるので、シャッターチャンスを逃し、まさに、地団駄を踏むことになる。それはそれで面白いので、どのくらいのカメラマンがとりそこねたのか瞬時に数えたりするのだ。

 ・・・なんて意地の悪いことはしていないが、こうして選手たちには、優勝したときのお決まりのパフォーマンス、行動パターンというのがあって、知っていると撮影も楽になる。今季大活躍のマルケスは、パルクフェルメでマシンを降りるとスタッフが大勢待ち構えているところに駆け出し、豪快に飛び込んで行く。スタッフたちとの記念撮影は、いまやグランプリ界の常識となり、ほとんどの選手がやるようになった。速い選手、華のある選手というのはこういう流行を作ってしまうものだ。

 そうした派手でわかりやすいパフォーマンスとは対象的に、静かに、それでいて結構図々しくて、気がつくと、またやってる・・・と笑わせつつも、「やるなー」と唸らせてくれるのが、ペドロサのこんなパフォーマンスである。

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 ペドロサはクラスでもっとも身長が低く、小柄な選手。そのせいなのだろうか、2位や3位のときは、シャンパンファイトが始まって優勝した選手が表彰台から飛び降りていくと、すぅ〜〜っと一番高いところに上がっていってシャンパンファイトを始めてしまう。だから、シャンパンファイトの写真だけを見たら、ペドロサの優勝回数は実際の優勝回数より相当多くなってしまうのだ。

 飛び魚は今年、ペドロサをチャンピオン候補の筆頭に挙げた。獲って欲しいという気持ちを込めてのイチオシだった。というのも、今年獲れなかったらもう獲れないかも知れないと思ったからだ。そうした、切羽詰まった気持ちはペドロサも同じだと思う。シーズン序盤には2勝を挙げ、まずまず順調なスタートを切った。しかし、チームメートで新人のマルケスの大活躍と、シーズン中盤戦のケガによる欠場や表彰台に立てないレースもあって、やっぱり今年もチャンピオンは無理なのかなあと思ったりしたのだ。

 そのケガも治り、体調も回復に向かい、夏休み明けのインディアナポリスGP、チェコGP、イギリスGPの3連戦戦では、3戦連続で表彰台に立った。決して満足できるリザルトではないのだろうが、こうして表彰台の真ん中にちゃっかり立って、シャンパンファイトをするようになったというのは、それはそれで気分がいい証拠でもあるのだ。

 史上最年少記録を次々に更新してきたマルケスは夏休みを挟んで4連勝を達成、今季5勝へと記録を伸ばした。ルーキーとしてはグランプリ史上初の快挙達成となったのだが、このころからペドロサは、マルケスに対する「負けたくない、負けられない」という先輩としてのプライドを捨てて、「本当に速くて強い」とマルケスの実力を認めたような気がするのだ。

 人間というのは、そうなると楽になれるものだ。あいつには負けられないという気持ちが、あいつに勝ちたいというチャレンジャーへの気持ちに変化するからだ。後半戦の3連戦。インディアナポリスとチェコではマルケスに続く2位。イギリスではロレンソ、マルケスに続いての3位だったが、こうして表彰台のてっぺんにちゃっかり立ってシャンパンファイトをする姿を見ていると、ペドロサがチャンピオンになれるかどうかはわからないが、これからの後半戦は相当巻き返してくるんじゃないかと思ったのだ。(飛び魚=遠藤智)

 

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