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'13/9/8

野外展示で傷み進む被爆電車



 広島電鉄の現存する被爆電車4両のうちの1両で、引退後に広島市交通科学館(安佐南区)の屋外広場に展示してある「654号」が、風雨にさらされ傷んでいる。市は修理を検討しているが、以前に構想のあった屋根の設置は見送る考えだ。

 654号は、市の要望を受けて、広電が2006年に寄贈した。市は07年に車体を塗り直したが、現在は塗膜が浮いたりはがれたりし、露出した鉄板がさびた箇所もある。来館者から傷みを心配する声が寄せられることもあるという。

 小規模な補修は、06年から同館の指定管理を請け負う広島高速交通(安佐南区)が担当してきた。雨漏りの応急処置や部分的な塗装などをしてきたが、昨年度は補修をしていない。今春着任した矢野大介館長は「維持管理が行き届いていないという思いはある」と認める。

 同館からの報告を受け、市は早ければ本年度内にも、塗膜をはがして再塗装する方針でいる。腐食した木製の窓枠の交換などの修理も計画する。耐久性にすぐれた塗料を重ね塗りするなど、劣化を遅らせる手法も検討している。

【写真説明】塗膜がはがれ、さびた鉄板がむき出しになった654号の車体側面(魚眼レンズ使用)




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