板橋OL・ストーカ殺人事件


−経緯−

平成12年12月16日の朝、東京都・板橋区のOL・加藤昭子さん(当時26歳)が死亡しているのを母屋に住む父親(当時70歳)が発見し警察に通報した。警視庁捜査一課が現場検証したところ、玄関のガラスが破損しており犯人はここから侵入したと推定された。
遺体はタオルで首を絞められており財布と携帯電話が無かった。

捜査一課の調査で、昭子さんは10月19日夜「近所で見知らぬ男に声を掛けたれた」、「後をつけられた」、「見知らぬ男が家に入ってきた」、「就寝中に首を絞められた」と父親に相談していた(彼女の日記にも詳細が書かれていた)。そこで父親は玄関の鍵を付け替えたり、玄関先に照明を設置するなどの対策を行っている。更に、パスポートが盗まれているとして警察に届け出をしていたことが判明した。加藤家では同敷地内に父親が母屋、昭子さんが離れで居住していた。

昭子さんの家に侵入する場合、母屋の正面玄関から入ることなく侵入ができるため犯人は簡単に昭子さんの部屋に入ることができた。捜査一課は《付近で不審人物が居なかったか》或いは《昭子さんがインターネットで国内外のメル友とのやり取りをしていたこと、携帯が盗まれていることからネット出会い系の犯行》の両面で捜査を開始した。その結果、現場周辺で不審な男が若い女性に声を掛け付きまとうということが頻繁に発生していることが判明した。

多数の証言者の情報で自宅が近所で無職の村瀬国隆(当時29歳)が捜査線上に浮上してきた。事件から4日後の12月20日、村瀬を強盗殺人と住居不法侵入の疑いで逮捕した。

−動機−
捜査一課の取調べで村瀬は犯行を認めると共に1ヶ月前にも乱暴目的で女性宅に不法侵入していたことも供述した。動機は、「酒を飲んだら金が無くなり、引ったくりの相手を物色したが見当たらなかった。そこで以前、後をつけた独り暮らしの加藤さんを思い出し侵入したが加藤さんが目をさましたので首を絞めた」ということだった。平成14年9月4日東京地裁は「自己の性欲や金銭欲のために他人の生命さえ奪う非情さに慄然とするが、計画的犯行とは異なる」として無期懲役(検察側の求刑は死刑)を言い渡した。

昭子さんは高校時代、吹奏楽部に所属し明るい性格で皆から慕われていた。その彼女が殺害され犯人逮捕までの間、マスコミは《ネット出会い系殺人事件か?》などと被害者にも非があるかのような報道を行った。が、犯人逮捕で昭子さんには何の落ち度も無く《残忍極まりない、通り魔ストーカ事件》であったことが明らかにされた。


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