2013.9.8 05:04(2/3ページ)

衝撃!虎・藤浪、聖地不敗神話16で止まった

ジェット風船の中、ベンチに戻る阪神・藤浪=甲子園球場(撮影・白鳥恵)

ジェット風船の中、ベンチに戻る阪神・藤浪=甲子園球場(撮影・白鳥恵)【拡大】

 不思議な力は通じなくなっていた。目を疑うような惨劇に、藤浪は肩を落とした。2本の痛恨被弾で甲子園初黒星。神話が終わった。自らの庭で落とし穴にはまった。しのぎを削り合うプロの厳しい世界に、改めて放り出された。

 「別に気にしていなかったので。負けがついたらもちろん良くないですけど、別に甲子園で負けたからどうというのはないです」

 あえて顔を上げ、強い口調になった。2012年3月21日の選抜1回戦・花巻東高戦から535日…。春夏連覇を達成した大阪桐蔭高時代は聖地で9戦9勝。プロ入り後も7戦で5勝0敗だった。6月9日のロッテ戦では、敗戦投手となる間際の九回にマートンに逆転サヨナラ2ランが飛び出し、神がかったパワーで負けを回避していたが…。

 この日は序盤から球が高めに浮き、制球できない。一回二死二、三塁のピンチこそしのいだが、1点リードの四回につかまった。先頭の阿部の左ひざ付近へ、152キロの直球を当てて暗転。すぐさま帽子を取り、謝ったが、和田監督も「あれからまったくインコースを突っ込めなくなった」と振り返った、ターニングポイントだった。

 続く村田に投じたカウント1-2からの4球目、外角を狙ったカットボールが真ん中に入る。打球は瞬く間に左翼ポール際へ。失投で逆転2ランを被弾した。細かに舞った秋雨に濡れながら、背番号「19」は腰に手を当てうつむいた。五回には一死二塁から長野に右翼ポール際へ、2ランを浴びた。外角低めへ投じた球だったが、内角を突けていなかったことで踏み込まれ、運ばれた。

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