10大財閥は韓国上場企業の売上高の半分以上、最終利益では約8割を占めるとされ、韓国経済における存在感が極めて大きいのは事実だ。ただ、財閥や大企業偏重の状況を是正するような規制を打ち出し、中小企業育成を重視する「経済民主化」が朴政権の目玉方針だったはずだ。従来の方針に逆行して財閥に泣きつくしかなくなったのか。
国内系金融機関のアナリストは「韓国の国内経済は、投資の萎縮や低迷が大きな問題になっている。朴政権は経済を活性化させて実績を上げる狙いで財閥に接近したが、投資が伸びず、内需も外需も勢いが弱いのは、政府自身が実施した規制強化の影響も小さくない」と分析する。朴政権にとっては自縄自縛の面もあるというのだ。
「そもそも投資して期待通りの収益が上がるような分野がいまの韓国国内にあるのか疑問だ。民主党の菅直人政権が、経済団体に雇用拡大や国内投資を要請したが、掛け声倒れに終わった。朴政権のやり方もそれとよく似ている」(同)
財閥側も余裕があるわけではない。今年上半期(1~6月)の業績で、最大手のサムスン電子は増益となったが、現代自動車やSK、ポスコなどの企業グループの業績は悪化している。主要な取引先である中国や新興国の経済が急減速しており、下半期も外部環境は引き続き厳しい。
前出のアナリストは韓国経済について「最悪期は脱しつつあり、輸出も緩やかに回復に向かうが、力強さに欠ける。財閥側としては積極的に国内に投資する段階にはなく、海外に投資する動きが強まっている。一方で朴政権側も規制緩和や投資減税など企業を優遇しすぎれば経済民主化と矛盾するため、折り合いをつけるのは簡単ではない」とみる。
朴大統領の「クネノミクス」も重大な岐路を迎えているようだ。