【ベネチア7日】俳優・渡辺謙(53)が主演した映画「許されざる者」(李相日監督、13日公開)が6日夜、第70回ベネチア国際映画祭の特別招待作品として上映された。終演後、5分を超えるスタンディングオベーションが起き、地元メディアも「リメークは大成功」と絶賛。渡辺は「言葉を超えた映画になった。国を超えて伝わった」と男泣き。世界公開へ手応えをつかんだ様子だった。
自然と涙がこみ上げてきた。約1000人の観客のスタンディングオベーションでたたえられた渡辺は、スクリーンを見つめながら男泣きした。「国を超えて伝わってると感じた。言葉を超えた映画になってるなと思いました」と喜びをかみしめた。
93年の米アカデミー賞で作品賞など4部門に輝いたクリント・イーストウッド監督(83)の名作を時代劇にリメークし、世界中の映画ファンから注目を集めた。主催者にVIP待遇で迎えられ、船に乗ってド派手に会場入り。レッドカーペットには妻で女優の南果歩(49)を伴った。「誰に支えてもらってこの仕事ができているのか、ということ。こういうことは日本の映画界を率先してやりたい」とハリウッド流を貫いた。
公式上映から一夜明け、イタリアのメディアは作品を絶賛した。Webサイト「スクリーン・ウイーク・イタリー」は「リメークはクオリティーが落ちることが多いが、これは大成功」と称賛。「バッド・テイスト・イタリー」は「ケン・ワタナベは素晴らしいサムライだ。サムライという文字が顔中に書かれた男だ」と独特の表現でたたえた。
反響を受け、渡辺は「うれしいですね。10月にクリントに会いに行きたいと思っているんだけど『不思議な体験だったよ』と伝えたい。(米国版の)生まれたての時の評価を聞いてみたいね。米国でも今回と同じで『これってなんだろう』ってなったと思う。そこからフレームを壊していったと思うんだよね」。徐々にファンに浸透していくことを願った。
製作総指揮の「ワーナー エンターテイメント ジャパン」のウィリアム・アイアトン社長は「いくつか海外からオファーも来ている。世界公開を目指したい」ときっぱり。トロント国際映画祭、釜山国際映画祭でも上映が決定。渡辺は「いっぱい見てもらいたい。全然違う国で5年後ぐらいに『あれ見たんだけど、あれって何?』って言われたらなと思う」と目を輝かせた。
◆阪神・桧山引退に「お疲れさま」 〇…大の阪神ファンの渡辺は桧山の引退を報道陣から知らされ「本当に?」とびっくり。「よく頑張ったなと思います。金本や下柳といった選手が抜けていくのは悲しいけど、スポーツ選手の運命。お疲れさまでしたと言いたいです」とねぎらった。
[2013/9/8-06:03 スポーツ報知]