ほかの地域も状況は似ている。釜山市西区の釜山サバ市場でサバ、アンコウ、カレイなどを取り扱う国民商事のキム・イルウン代表は「日本と関係がない韓国西海岸・黒山島産の魚も売れない。商品ごとに漁獲水域を説明しているが、販売が落ち込んで苦しい」と話した。ソウル市銅雀区にある鷺梁津水産市場の関係者も「たまに客が来ても買うのはワタリガニばかり。ほかの魚を目立つように置いても目をくれない。このままでは商売にならなくなる」と嘆いた。
■「秋夕」控え被害拡大懸念
被害は水産物の需要期に当たる秋、特に流通業界の書き入れ時である秋夕(中秋節、今年は9月19日)を控え、拡大する様相を見せている。大型スーパーマーケットのイーマートによると、放射能汚染水問題が浮上する以前の今年1-7月のタチウオの売上高は前年同期に比べ10.5%増えたが、問題発覚後の8月には3.1%減少した。さらに9月には35.6%も急減した。
秋夕を控え、大型スーパーマーケットで販売される贈答用タチウオセットやイシモチの干物セットの販売量も例年に比べ30%減少した。全羅南道麗水市で貝類の加工業者を営む経営者は「毎年今ごろには秋夕用のセットを準備するのに大忙しだが、今年の注文は昨年の20%にも満たない。今年の秋夕商戦は台無しになった」と語った。
水協中央会の関係者は「7-8月は水産物の非需要期だったので持ちこたえることもできたが、本来水産物が売れる秋にも同様の状況が続けば、被害が拡大しそうだ」と顔を曇らせた。