富士山の世界文化遺産登録後、初の夏山シーズンが終わり、静岡県は六日、県内三登山口からの七〜八月の登山者数が十三万九千七百八十三人だったと発表した。山梨県の吉田口を加えると三十七万二千四百六十五人。
富士宮口は八万五百三十八人、須走口は四万六百八十八人。比較可能なデータがある御殿場口は過去最高の一万八千五百五十七人で、前年より90%近く増えた。
環境省が二〇一二年に計測した四登山口の登山者数は約三十一万八千人。単純比較はできないが、静岡県観光政策課の担当者は「当初の予想ほどは増えなかった」と分析。理由として、マイカー規制の強化で吉田口の登山者が約一万四千人減ったことを挙げた。
富士山周辺の多くの観光施設では、一二年より来場者が増えた。このうち世界遺産の構成資産の一つ、三保松原(みほのまつばら)(静岡市清水区)の八月推計値は、前年同月の三倍の約十二万人に上った。
七〜八月の来場者は、あさぎりフードパーク(富士宮市)が前年同期比54・6%増の四万九百人、清水港と土肥港を結ぶ駿河湾フェリーは39・8%増の約四万五千六百人。一方、富士ミルクランド(同)は5・5%減の約三十一万二千六百人だった。
◆入山料導入 8割「賛成」
世界文化遺産に登録された富士山の環境保全などを目的に今夏、試験徴収した入山料について、静岡県は六日、登山者へのアンケート結果を発表した。本格導入は78・7%が賛成、反対が3%、「どちらともいえない」が15・2%だった。
静岡、山梨両県が呼び掛けた「富士山保全協力金」は、支払ったとの回答が67・8%で、払わなかったは28%だった。
協力できる金額は「千〜二千円未満」が44・6%と半数近くを占め、「三千〜五千円未満」が14・3%、「二千〜三千円未満」が10・9%と続いた。使途として望むのは、「ごみ処理などの美化清掃活動の強化」が46・9%、「環境配慮型トイレの導入と整備」が30・8%、「登山者が利用する施設や情報の充実」が15・7%。
両県は七月二十五日〜八月三日、四登山口の五合目付近で一人千円の協力を呼び掛け。静岡側で約千五百万円、山梨側で約千九百万円が集まった。両県が下山者を対象にアンケートして三千二百六十一人が答えた。
静岡県は九月末から、専門委員会などで来年の本格導入に向けて協議する。県富士山世界遺産課の担当者は「理解を得られるような目的、金額、制度設計をしたい」と話した。
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