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金曜日のギモン/バックナンバー
目次 › 2013年9月6日放送の金曜日のギモン/バックナンバー
金曜日のギモン!? 病院食が「おいしい」!?
金曜日のギモン、今週のテーマは「病院の食事」です。
味が薄いですし、そもそも体の調子が良くない時に食べるわけですから、あまりいい印象はないですね。
…と思うんですが、最近は見た目も味も昔とは変わってきていて、おいしいと評判になる病院食まであるそうです。肥満で健康に不安を抱えるギモン隊が調査しました。


満員の料理教室で生徒の皆さんが作り方を習っているのは、「病院食」です。

 

教えているのは竹田博幸さん(59)。
最先端の医療に取り組む国立循環器病研究センターの調理師長です。
でも、病院食ってあまりおいしくないイメージがありますよね?

【参加者】「おいしいですよ」
【参加者】「おいしいですよ、とっても薄味やのにね。食べやすいです」

【竹田調理師長】
「ちょっと省いてとか簡素化できないかと言われるけど、料理は手を抜いたらダメなんですよ。だって料理ひとつで病気が治る場合もあるんです。そういうところは訴えていきたいですね」

竹田さんたちが病院で提供している料理は、血圧を上げる「塩」を「軽く」使っていることから「かるしお」と呼ばれています。
「塩分は少ないけれどおいしい」と評判で、レシピをまとめた本はすでに25万部以上売れています。

しかし、ここに至るまでには紆余曲折があったそうなんです。

【国立循環器病研究センター 村井一人 栄養管理室長】
「今までの病院の料理ではクレームがあるんですよね、患者さんから。おいしくないと。おいしくないと言われても、我々としてはその当時で精一杯やっていたので」

転機は今から9年前…。
高血圧治療のガイドラインが厳しくなって、塩分の摂取量が一日あたり7グラム以下から6グラム未満に変更されたことでした。
一食あたり小さじ半分以下の2グラムしか使えません。

【村井 栄養管理室長】
「やっぱり1グラム減らすのはかなり難しいです、正直言って。今まで7グラムというかなり削った量で管理しているところを、さらに1グラムとなると」

一食2グラムの塩で、いかにおいしい料理を作るか――?
この難題を解決したのは、京都の割烹で修業を積んだ竹田さんの「技」でした。

【竹田調理師長】
「ニンジンはニンジンの味がしないと駄目、南瓜は南瓜の味があって初めておいしいので、調味料でごまかすようでは料理としては許せない。素材も生かし調味料も生かして、お互いのバランスが生きるような仕上げ方ですね」

竹田さんが提案したのは、「八方だし」という、だしの活用でした。

 

1.8リットルの湯に30グラムのカツオの削り節を入れてだし汁をとり、そのカツオだし1.3リットルに、砂糖30グラム、塩6グラム、薄口しょうゆ4分の1カップを入れ、ひと煮立ちさせれば完成です。

例えば煮物の場合、「八方だし」で茹でれば下味がつくので、最小限の調味料で料理ができます。
その八方だしで茹でただけの豚肉はどんな味なのでしょうか?
濃い塩味が好みのギモン隊も試食してみました。

【ギモン隊】
「何かいろんな…だしのコクも感じますし、豚の甘味も感じますし、すごい手間暇かかったような、そういう味がします」

昼食が完成しました。
味はもちろんのこと、彩りやカロリーにもこだわっています。
塩分は2グラム未満、いかがですか?

 

【入院中の男性(80)】
「すごく食べやすい。野菜などがすべて小さく刻んであるので食べやすいんですよ。16年前に最初にここでお世話になった時に比べると、だいぶん改善されて良くなった」

【竹田調理師長】
「僕ら(患者の)顔を直接見ることはできませんよね。やはり家族に食事を作るつもりで、気持ちで作っていますね。早く健康になってもらうために」

最近は国立循環器病研究センターのレシピを社員食堂のメニューに採用する企業も出てきています。
百貨店の売り場にもこのメニューの弁当が並ぶほど、いま人気なんです。

「冷たい」「美味しくない」というイメージがいまだに残る病院食。
実は国も改善を促してきました。
1992年から「食事を適切な時間に適切な温度で出す」などの条件を満たした病院に診療報酬を加算していたほか、2006年からは「栄養士が病棟で栄養状態をみた上で、医師や看護師と協力して栄養管理を行う病院」にも診療報酬を加算していたのです。

奈良市北部や京都府南部の地域医療を担っている高の原中央病院。
この病院でも工夫を凝らした料理作りに取り組んでいます。

 

例えばこちらのホットケーキ、糖質を制限されている患者のために、小麦粉の代わりにおからで作っています。

国は病院の食事代を一人当たり原則一食260円と定めていることから、この病院では限られた予算の中で彩りも豊かな料理を作る努力をしています。

【余吾淳子栄養科長】
「食べていただくということを自分は第一に考えていて、全量食べていただくということをいろいろ工夫しています」

当然のことながら、それぞれの患者に合うようにひとつひとつ料理の組み合わせを考えなければいけません。
高齢の患者の中には栄養が足りていない人もいるため、「いかに食べてもらうか」ということは栄養士にとっても大きな課題です。
この病院では週に1回以上アンケートを行い、味の評価や食べたいものを患者に尋ねています。
時には厳しい意見もありますが、そうした意見こそ大切にしています。

 

【余吾栄養科長】
「アカンって書いてあったりするとすごくガッカリするんですけども、それはそれでうちの科が向上するためにはすごくいいことだと思えるようになりました」

【健康教室の栄養士】
「寿司を8貫食べると、一日に食べる糖質の量を超えてしまう。それを夜に食べると中性脂肪や脂肪肝の値が上がってしまう」

毎週、この病院が市民を対象に開いている健康教室。
満員の理由はここの病院食が出てくるからです。

【参加者】
「ごちそうです。ここ、いつもごちそうなんです」
【参加者】
「これは糸こんにゃくの担担麺、おいしいです」

 

【余吾栄養科長】
「うちの病院を拠点にして地域の人々の食生活が健康的になって、生活習慣病とかが減っていけばいいなっていうふうに思っています」

希望する人には栄養指導も行っています。
体重110キロと肥満に悩むギモン隊も指導してもらいました。

【丹羽広子管理栄養士】
「なかなかこの血液検査値って、この病院に数年いるんですけど、なかなか見ない感じなんですよ。かなりの脂肪肝があるので、肝臓の周りにたっぷり脂肪が溜まっている状態ですね。糖質になるものを全部、まずは一旦1ヵ月間なくしていただくということになるんですけれども」

ギモン隊は「1ヵ月間お米を抜いて、サラダなどの野菜を中心に食べること」「間食のチョコレートは、チーズやナッツにすること」などを指導されました。

【ギモン隊】
「年末まででしたら、10キロぐらい痩せるかも」
【丹羽管理栄養士】
「そうですね、痩せます」

今回の取材をきっかけに、病院食並みの糖質やカロリーを意識した食生活を始めたギモン隊。
年末までには少しは健康になっているのでしょうか??
2013年9月6日放送
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