64年東京五輪が決まったのは59年で、このときの首相は安倍首相の祖父、岸信介氏だった。札幌五輪が決まった66年は、岸氏の実弟で、安倍首相の大叔父である佐藤栄作氏が首相を務めていた。つまり、安倍首相の一族は五輪を引き寄せる強運の持ち主となる。
ちなみに、運がなかったのは鳩山一族。60年夏季五輪に東京が立候補したときの首相は鳩山一郎氏で、2016年夏季五輪の東京招致では孫の鳩山由紀夫氏がIOC総会に出席してアピールしたが、リオデジャネイロ(ブラジル)に及ばなかった。
過去3回、日本で開催された五輪では“共通する法則”もある。
64年東京、札幌、長野の各五輪は、いずれも2度目の立候補で開催を決めている。今回の夏季五輪に東京が手を挙げたのも、16年夏季五輪に続き2度目。「2度目の正直」の法則が今回も生きているのなら、東京五輪の現実味はぐっと増すことになる。
国際情勢も過去3回の決定時と似通っている。
64年東京五輪が決まった59年は中印国境紛争が勃発。札幌五輪が決まった66年はベトナム戦争の真っただ中。98年冬季五輪開催地に長野が選ばれた91年は湾岸戦争があった。
戦争と五輪招致の因果関係は明確ではないが、国際情勢がキナ臭くなればなるほど「安全・安心な国=日本」というイメージは浮上する。シリアの化学兵器使用疑惑を受けた米国の軍事介入が秒読み段階に入るなか、東京五輪への追い風となるのか。
安倍首相は「日本の熱気をICOの皆さんに伝えて東京招致を勝ち取りたい」と意気込むが、運をも信じたい心境なのは間違いない。