シカゴ連銀総裁:緩和の縮小は物価目標達成へ強い自信が必要
9月6日(ブルームバーグ):シカゴ連銀のエバンス総裁は6日、インフレと成長 が加速するまでは月850億ドル(約8兆4700億円)の債券購入の規模を縮小すべきではないとの見解を示した。
同総裁はサウスカロライナ州グリーンビルで講演。景気刺激の「縮小を開始する前に、経済成長が7-9月(第3四半期)に勢いを増したことと、インフレ率を押し下げている要素がわれわれの考えている通り一時的なものであることを、入ってくるデータで確認することが最善だ」と語った。
エバンス総裁は記者団に対し、米連邦公開市場委員会(FOMC)が9月17-18日の会合で資産購入規模の縮小を決定すべきかどうかの判断については「オープンマインド」と述べた。同総裁は今年のFOMCでの議決権を保有している。
この日発表された8月の米雇用統計によると、雇用者は前月比で16万9000人増加した。これはエコノミストの予想を下回る。失業率は7.3%と前月の7.4%から低下した。労働参加率が1978年以来の最低だった。エバンス総裁は雇用統計は「予測していたほど良好ではなかった」と述べた。
総裁は講演後に記者団に対し、債券購入策の縮小の可能性について、「次回あるいはその次の会合で縮小を決定したとしても、当局の資産購入プログラムに大きな変更はない」と述べ、「より広範は金融政策の観点から述べると、効果的な経済効果を達成する上で最も重要なのは緩和策全体だとの見解に同意する」と言明した。
失業率5%台がゼロ金利解除の条件か講演の中でエバンス総裁は、景気見通しの改善により資産購入を恐らく「今年中に減らし始め、その後幾つかの段階を経て終了させることができるだろう」と指摘。終了時期は2014年半ばとの見方を示した。債券購入の今回のプログラムが始まった時点に比べ、雇用市場は「明らかに改善している」とも語った。
「しかし、米経済が通常の健全な状態に戻るまで、まだ道は長い。現在は、就労可能でありながら職を探してすらいない米国民が異例なほど多くいる」と付け加えた。
エバンス総裁は、失業率低下が7%前後に低下した後もさらなる低下が続くと見通せるようになるまで、債券購入を続けるべきだと指摘。さらに、労働市場の他の指標も同様の改善を示すこと、またインフレ率が当局の目標である2%に向かって上昇すると「相当の自信」が持てるようなデータが出ることを、緩和縮小の条件とすべきだとの考えを示した。
エバンス総裁はまた、量的緩和を終了した後も緩和的政策は維持されるとし、同総裁の提唱でFOMCが採用した目安である6.5%まで失業率が下がった後も事実上のゼロ金利政策を継続することは可能だとも述べた。「利上げをするのに失業率が6%を下回るまで待つような状況も十分に想定できる」と語った。
原題:Fed’s Evans Wants to See Inflation Accelerate BeforeTapering QE(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:Atlanta Steve Matthews smatthews@bloomberg.net
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更新日時: 2013/09/07 03:12 JST