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G20閉幕 米ロ対立激化
9月7日 4時37分

G20閉幕 米ロ対立激化
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ロシアのサンクトペテルブルクで開かれていたG20サミットは、日本時間の6日夜、閉幕しましたが、シリアへの軍事行動を巡って、アメリカとロシアが激しく対立する異例の展開となりました。

G20サミットは、日本時間の6日夜、2日目の討議を終え、首脳宣言を採択して閉幕しました。
サミットでは、シリアで化学兵器が使われたとされる問題で、アメリカが検討しているアサド政権への軍事行動についても、意見が交わされました。
議長国ロシアのプーチン大統領は、サミット閉幕後の記者会見で、アメリカの軍事行動にフランスやトルコなど6か国の首脳が支持したのに対して、反対はロシアや中国、インドなど8か国の首脳に国連の事務総長も加わったとしてロシアに同調する意見が多かったと強調しました。
これに対して、アメリカのオバマ大統領は、G20サミットに出席した日本やフランスそれに韓国など10か国の首脳とともにアサド政権が化学兵器を使用したのは明らかだとして国際的な強い対応を求める共同声明を発表しました。
オバマ大統領は、記者会見で、「G20参加国の大半は、アサド政権が責任を負わなければならないというアメリカの決定に同調している」と述べ、アメリカの立場にこそ理解が広がっていると反論しました。
G20サミットは、本来、各国の首脳が世界経済の課題を議論する場ですが、シリアへの軍事行動を巡って、アメリカとロシアが激しく対立する異例の展開となりました。

英首相はロシアを批判

G20サミットのあと記者会見したイギリスのキャメロン首相は、アメリカが進めようとしているシリアへの軍事行動について「国連安全保障理事会の決議に委ねれば、われわれの外交政策や倫理観を、拒否権を行使するであろうロシアに譲り渡すことになる。これは誤ったアプローチだ」と述べ、安保理で拒否権を持つロシアを名指しで批判しました。
そのうえでキャメロン首相は、「これは人道的な危機に対して行動するものであり、その場合は、安保理決議がなくても行動することはあり得る」と述べ、安保理の決議を得ないまま軍事行動の準備を進めるアメリカの立場を支持する考えを示しました。
ただイギリスでは議会が軍事行動への参加を否決していることから、キャメロン首相は「イギリスはいかなる軍事行動にも参加するつもりはない」と述べて、人道的な支援に集中する考えを示しました。

仏「米議会と国連の報告待つ」

アメリカによる軍事行動への参加を検討するフランスのオランド大統領は、G20サミットのあと記者会見し、「アメリカ議会の結論とシリアの化学兵器使用疑惑についての国連調査団の報告を待つ」と述べ、国連の調査結果も踏まえて軍事行動への参加を判断するという姿勢を示しました。
オランド大統領はこれまでアメリカ議会の採決の行方を見極めて軍事行動への参加を判断するとしていましたが、新たに国連の調査結果も踏まえて判断するというより慎重な姿勢を示した形です。
一方で「フランスは、化学兵器を使用したものを罰することなく、放置しておくことはできない。軍事行動は政治的な解決を促すことにもつながる」と述べ、シリアのアサド政権に対し、軍事行動に踏み切る必要性を改めて強調しました。
また、オランド大統領はアメリカのオバマ大統領から早ければ来週半ばに、アメリカの議会でシリアの軍事行動を承認するかどうかの採決が行われると伝えられたことを明らかにしました。

独「政治的な措置を」

ドイツのメルケル首相はG20サミットのあと記者会見し、アメリカが検討しているシリアへの軍事行動について「政治的な措置が必要だ。ドイツは政治的な解決に向けて引き続き取り組んでいく」と述べて、シリアの内戦を終わらせるには軍事行動よりも政治的な解決が望ましいという考えを強調しました。
G20サミット閉幕後、アメリカや日本それにフランスなど11か国の首脳はアサド政権の化学兵器の使用を非難し、国際的な強い対応を求める共同声明を発表しましたが、ドイツはこの声明に名を連ねていません。

日本政府は同盟国アメリカに配慮か

日本政府は、シリア情勢を巡って、アサド政権を強く批判していますが、化学兵器をアサド政権側が使用したかどうかについては、事実関係を慎重に見極める姿勢を取ってきました。
今回、化学兵器の使用をアサド政権によるものと断定し、強く非難した共同声明に日本も加わったことについて、政府関係者は、「アメリカがイニシアチブを発揮したのは間違いない」と述べており、アメリカ側の強い働きかけがあったことを明らかにしました。
シリアへの軍事行動を巡って国際社会の意見が割れるなか、日本政府として、苦しい立場に置かれている同盟国アメリカに配慮したのではないかという見方も出ています。

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