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宮崎駿監督「僕の長編アニメーションの時代は終わった」
9月6日 18時49分

宮崎駿監督「僕の長編アニメーションの時代は終わった」
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アニメーション映画の巨匠、宮崎駿監督は6日午後、東京都内で記者会見し「僕の長編アニメーションの時代はもう終わった」と語り、最新作「風立ちぬ」をもって引退することを正式に発表しました。

引退会見は、東京都内のホテルで6日午後2時から始まりました。
このなかで宮崎さんは「何度もこれまでやめると言って騒ぎをおこしてきた人間ですが、今回は本気です」と笑顔で語りました。
そのうえで引退を決めた理由について「(最新作の)『風立ちぬ』は(前作の)ポニョから5年かかっている。次の作品を考えると5年じゃすまない。6年か、7年か。僕の長編アニメーションの時代はもう終わったんだ」と述べ、年齢を重ねるごとに創作にかかる時間が延びていることが背景にあることを明らかにしました。
一方「短編映画は制作するのか」という質問に対して、宮崎さんは「僕は自由。やってもやらなくても自由です。でも今はそのことに頭を使うことはしません」と前置きしたうえで「今後は前からやりたかったことをやる。それはアニメーションではありません」と述べ、短編映画の製作を現時点では考えず、別の仕事に専念する考えを示しました。
しかし、そのやりたいことの内容については「やれなかったらみっともないから言いません」と明言を避けました。
現在館主を務めている東京・三鷹市の三鷹の森ジブリ美術館での仕事には、今後も「関わっていく」ということです。
会見場にはアメリカやフランス、ロシア、中国、韓国など、海外のメディアも含めおよそ600人が訪れ、アニメーション映画の巨匠の引退を惜しむ質問が相次ぎました。

海外メディアの関心も高く

6日の記者会見にはおよそ600人が取材に訪れ、並んだテレビカメラの数は70台にのぼりました。
また、海外メディアの関心も高く、アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、スペイン、スウェーデン、ロシア、中国、韓国、シンガポール、台湾、香港と、13の国と地域の新聞社やテレビ局などが宮崎監督の引退会見の様子を世界に伝えました。
このうち、フランスのAFP通信社の女性特派員は「フランスでも宮崎監督の作品はそれまで子供のものだったアニメーションを、大人も見たいものにしてくれました。『風立ちぬ』も公開を待っている人がたくさんいます。会見では引退について少し曖昧だと思いましたが、今後も短編は作ると思う。フランスでも間違いなくトップニュースになります」と話していました。
また、台湾のテレビ局の男性リポーターは「台湾でも宮崎作品はとても人気があります。引退は本当に残念ですが、短い作品でもまた作って、私たちを楽しませてくれると期待しています」と話していました。

30年間緊張の糸あった

6日の宮崎駿監督の引退の記者会見には長年、宮崎監督とコンビを組んで映画の製作に携わってきたスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーも同席しました。
会見の冒頭、鈴木さんは「始まったものは必ず終わりがくる。そういうものだと思います。落ちぶれて引退するのはかっこ悪いと思っていました。ちょうど今『風立ちぬ』が公開されて、それが支持されているなかでこういうことを決めたのはよかった」と、心境を語りました。
そして、宮崎監督から引退を告げられた時のことについて尋ねられた鈴木さんは「いつ告げられたか正確には覚えていませんが、『風立ちぬ』が完成したのが6月19日、その直後じゃなかったかと思います。これまでにも、これで最後だという話はありましたが、今回は本気だなと感じざるを得ませんでした。ナウシカの制作を始めてから30年になりますが、30年間ずっと緊張の糸があったと思います。その緊張の糸が宮さんに引退を告げられた時に少し揺れたんですよね。別の言い方をすると、僕自身がほっとするところがあったんです。若い時だったら、それをとどめさせようとかいう気持ちも働いたと思いますが、自分の中で、本当にご苦労さまでした、という気分が湧きました」と語っていました。
そのうえで「僕自身はことし11月に高畑勲監督の『かぐや姫の物語』を公開しないといけないので、途切れかかった糸を縛ったりして仕事を続けています」と述べるとともに、来年の夏を目指して、スタジオジブリでもう1本、映画を制作していることを明かしました。

歌い続けていられるのは宮崎監督のおかげ

宮崎監督の代表作、「となりのトトロ」の主題歌などを歌った歌手の井上あずみさんは、宮崎監督の引退について、6日午後、NHKの番組のなかで「本当に残念です。今も歌い続けていられるのは宮崎監督のおかげです。感謝の気持ちでいっぱいです」と話しました。
また、映画「天空の城ラピュタ」の主題歌「君をのせて」の歌手として抜擢され、28年前に初めて宮崎監督に会った時のことについて、井上さんは、「校長先生のような柔らかい印象の方でした。その後、2歳になる私の娘に『おじちゃんはね、君たちみたいな小さい子がおもしろかったって言ってくれる作品が作りたいんだよ』と話しかけていました」と思い出を振り返りました。

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