国土交通省が所管する独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(横浜市)が発注する、北陸新幹線の融雪・消雪設備工事の入札をめぐり談合していた疑いが強まったとして、公正取引委員会は4日、独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで、高砂熱学工業(東証1部、東京都千代田区)など十数社の本社や同機構東京支社などを強制調査した。

 他に調査を受けているのは、いずれも東証1部の新日本空調(中央区)、三機工業(同)、朝日工業社(港区)、ダイダン(大阪市)など。

 公取委は、各社の担当者らから事情を聴き、検察当局への刑事告発を視野に調べを進める。同機構の関与の有無も調べる。

 同機構は、北陸新幹線の建設工事に関連し、線路上の雪を溶かす設備を一般競争入札で発注している。

 関係者によると、各社の担当者らは会合で話し合うなどして、2011年度と12年度などの入札で、落札者を事前に決めていた疑いが持たれている。

 公取委は、国民に身近な新幹線に関係する工事の談合で、複数の上場企業が関与している疑いもあることから悪質性が高いと判断。強制調査に踏み切ったとみられる。

 公取委の強制調査は06年1月に施行された改正独禁法で導入された。11年7月のベアリングカルテル事件以来約2年ぶりで、7件目。

 高砂熱学工業、新日本空調、ダイダン、同機構は強制調査を受けたことを認め、「調査に協力する」などとしている。三機工業は「事実を確認中」、朝日工業社は「ノーコメント」とした。 

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