JR九州の九州新幹線全線開業のTVコマーシャル(CM)をご存じだろうか。鹿児島中央駅から博多駅まで、新幹線の車窓から沿線や駅で手を振ったりウェーブしたりする人々の姿を映したCMだ。このCMは、3月12日の開業に向けて、3月9日から九州地方やYouTubeで放映を開始した。ところが、放映開始からわずか2日後の3月11日に東日本大震災が発生。九州新幹線全線開業は、震災のニュースの中で静かに伝えられたのみだった。開業を祝うセレモニーは中止、CMも放映を止めた。
テレビ放映が打ち切られたことで、忘れ去られそうなCMだったが、震災で沈む人々の心に訴えたのか、Twitterで話題となり、YouTubeで再び火が付く。結局、このCMは「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」で賞を取ることになる。
東京から帰ってくる「こまち」を、手を振って迎えよう
実は、このCMに励まされて製作された、もう一つの映像がある。九州新幹線と同じように新幹線に手を振る人々の映像だ。違うのは、場所が東北、秋田新幹線であることと、コマーシャルではなく、沿線に住む人々、乗客となる人たちの手作りの映像であるということだ。
それは、ゴールデンウィーク直前、あるTwitterのつぶやきから生まれた。つぶやいたのは、仙北市農林部総合産業研究所参事(兼)農山村体験デザイン室長の泉谷衆さん。4月23日、「九州新幹線全線開業」のCMに感激したことをつぶやいた。翌24日、泉谷さんはJR九州のCMの話題で盛り上がるTwitterに、自ら「後戻りできない」と語る、さらに踏み込んだ提案をつぶやいた。以下がそのつぶやきである。