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尖閣1年―あまりに多くを失った

戦争の記憶を呼び起こす8月に続き、9月は中国との関係を振り返る季節である。18日は満州事変(1931年)が始まった日であり、29日は日中国交正常化(72年)の記念日。ま[記事全文]

幼子の虐待―生まれる前から支えを

1歳の誕生日も迎えられず、命を絶たれる子たちがいる。厚生労働省の専門委員会によると、03年7月から昨年3月までに虐待で死亡した0歳児は218人(心中を除く)。虐待死の4[記事全文]

尖閣1年―あまりに多くを失った

 戦争の記憶を呼び起こす8月に続き、9月は中国との関係を振り返る季節である。

 18日は満州事変(1931年)が始まった日であり、29日は日中国交正常化(72年)の記念日。また、3日は中国では抗日戦勝記念日とされる。日本が降伏文書に署名した翌日の祝賀(45年)にちなむ。

 そこに、9月11日が加わった。昨年のこの日、日本政府は尖閣諸島の3島を国有化し、中国政府は猛反発した。あれから1年。日中関係は冷え切り、非難と抗議の応酬が続いた。

 見過ごせないのは、中国側が尖閣を歴史問題と関連づけて論じていることだ。

 中国の李克強(リーコーチアン)首相は5月、第2次大戦中に米英中首脳が発したカイロ宣言にふれ、「日本が盗み取った東北(旧満州)や台湾などの島々を中国に返さなくてはならないと明確に定めた」と述べた。尖閣を念頭に置いた発言であることは明らかだ。

 8月15日には、中国共産党機関紙・人民日報が尖閣について「第2次大戦後の日本の領土処理、国際秩序問題をどう扱うかに関わる」と論じた。島を不法に占拠する日本は、戦後の国際秩序に逆らっている――。そう印象づける意図さえにじむ。

 だが、こうした中国の言い分は説得力に欠ける。

 そもそも敗戦直後の台湾接収にあたり、当時の中華民国政府は尖閣の引き渡しを求めなかった。中国が領有の主張を始めたのは、それから20年以上もたってからだ。

 中国が「歴史」を言い募るのは、日本の侵略や植民地支配と絡めて国際世論を味方に引き込む狙いからだろう。尖閣は別問題だと、日本政府は世界に向け丁寧に説明する必要がある。

 一方、中国の理不尽な主張を許す隙が日本側にあるのも事実だ。この春、安倍首相が「侵略の定義は定まっていない」と発言し、欧米からも強い疑念の声があがったのはその典型だ。

 この間、日中両国はあまりに多くのものを失った。

 首相は一昨日、ロシアでのG20首脳会議前に中国の習近平(シーチンピン)国家主席と言葉を交わした。5分間とはいえ、この1年、首脳同士の接触がなかったことを考えれば一歩前進だ。

 日本政府はさらに粘り強く対話を呼びかけるべきだ。まずは経済や環境など協力可能な分野で、接点を広げたい。

 中国には、改めて自重を求める。歴史問題でナショナリズムをあおれば、自らの手足を縛る。習指導部にも、その愚かさは分かっているはずである。

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幼子の虐待―生まれる前から支えを

 1歳の誕生日も迎えられず、命を絶たれる子たちがいる。

 厚生労働省の専門委員会によると、03年7月から昨年3月までに虐待で死亡した0歳児は218人(心中を除く)。虐待死の44%を占め、しかも100人は生後1カ月未満、うち83人は出生当日に亡くなった。

 生後1カ月未満の子では加害者の9割が実母で、10代後半と30代後半に集中している。望まない妊娠だったり、困窮していたりしたケースが目立つ。

 妊娠中、定期健診をほとんど受けていなかった女性が多いのも特徴だ。

 大阪産婦人科医会がこうした「未受診妊娠」の実態を調べている。昨年までの4年間に、大阪府内で延べ861人の女性がほとんど健診を受けずに出産していた。妊娠350件に1件の割合で、年々増えている。

 未受診は医学的なリスクが高まるが、関係者の献身的な努力で、大半は無事に出産している。調査を手がける光田信明医師は「むしろその後のことが気がかり」と話す。

 女性たちが病院に来たがらない理由の多くは、虐待のそれと重なる。問題が解決されないまま家に戻し、死亡させたのでは元も子もない。

 どうすればいいか。

 厚労省専門委の才村純委員長(関西学院大教授)は「女性たちに社会から手を差し伸べ、おせっかいを焼くような支援が必要だ」と言う。

 大阪府は2年前、電話(0725・51・7778)やメールで保健師や助産師が相談に応じる「にんしんSOS」を開設した。匿名の相手でも、とことん寄り添って解決策を探る姿勢に徹し、最近は毎月百数十件の新たな相談がくる。

 従来の母子保健制度は健康な出産が主目的だ。望まない妊娠で中絶も選択肢に入れる女性には頼りにくいとされる。「ここになら悩みを打ち明けたい」と思わせる窓口を官民さまざまに増やしてほしい。

 関係機関が虐待への対処を話し合う地域ネットワークはほぼ全自治体にある。09年の法改正で、出産後、虐待の恐れがある妊婦も支援対象になった。

 実態に詳しい産科医らに協議に加わってもらい、出産後の支援態勢を早めに整えることも予防に役立つだろう。

 全国の児童相談所が昨年度対応した虐待は6万6807件で、22年連続で過去最多だった。起きてからの対応はもはや限界だ。生まれる前から子どもたちを守る。その意識を社会全体で共有していきたい。

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