iPhone:ドコモ、販売へ…挽回へ奥の手
毎日新聞 2013年09月06日 22時04分(最終更新 09月07日 09時27分)
ただ、日本ではアップルのブランド力は強く、スマホ市場でのシェアは39.6%と圧倒的。約6000万件の契約数を誇るドコモから新モデルを発売することができれば、シェア拡大につながるのは確実だ。
ドコモがアイフォーンを導入すれば、国内大手携帯電話3社すべてが扱うことになり、端末以外のサービス面での競争が激しくなりそうだ。「料金や割引競争がさらに加速するはず」(ソフトバンク幹部)との見方が広がる一方で、スマホ利用者の増加で通信量が増大する中、つながりやすさや通信障害の少なさも重視されることになりそうだ。
◇KDDIとソフトバンクは
KDDIとソフトバンクは、アイフォーンを活用してドコモから乗り換える利用者の獲得を競い合ってきた。2年契約を前提に、月額基本使用料を割り引いたり、アイフォーン5が実質無料になったりする契約もあった。また、KDDIとソフトバンクの間では、2年契約の満期前に乗り換えた場合に発生する違約金を、乗り換え先の販売店が負担するところまで競争は激化していた。
一方、ドコモの加藤薫社長はこれまで、アイフォーンを取り扱うことになっても「総販売台数の2〜3割」に抑えたいとの考えを示しており、アイフォーン導入は顧客流出を防ぐための品ぞろえとしての位置づけも強い。KDDI、ソフトバンクの2社に比べて、割引には消極的だ。
また、KDDIの田中孝司社長は2日、記者団に「ドコモからのアイフォーン発売も視野に入れて準備を進めている」と語った。ケーブルテレビとのセットで料金を割り引くサービスや、初心者向けの有料サポートも強化する。また「競争の軸は料金プランだけでなく、通信ネットワーク(の安定性)などへと拡大する」として、高速通信「LTE」の対象地域拡大なども進めている。
ソフトバンクも、つながりやすさや通信障害の少なさをアピールしていく構えだ。
◇国内端末各社、再編も…事業環境さらに厳しく
NTTドコモのアイフォーン導入は、ドコモにスマホを供給してきた国内端末メーカーにも影響を与えそうだ。ドコモ内でアイフォーンへの機種変更が進み、国内勢のシェアのさらなる低下も予想される。一部メーカーがスマホ事業撤退を打ち出すなど国内勢は苦境に立たされており、業界再編が加速する可能性がある。