ソーシャルゲーム2社と新進ベンチャー5社の経営者が熱演 IT(情報技術)分野を中心に世界市場を目指すベンチャー企業を支援する株式会社サンブリッジ グローバルベンチャーズ(代表取締役社長・平石郁生氏、以下、社名の株式会社は略)は7月20日、ベンチャーナウ(本社・東京都 國光gumi社長−赤字など乗り越え、今「世界に向けて快進撃」 講演した國光氏と前田氏が社長を務めるgumiとポケラボは、ともに5年前の2007年の設立で、gumiは「任侠道」で「GREE Platform(グリー プラットフォーム)2011年上半期 RPG(ロール・プレイング・ゲーム)最優秀賞」を受賞。ポケラボもSEGAと提携して、「運命のクランバトル」を開発しヒットを飛ばすなど、業界の成長株として注目されている。 それだけに最初に講演した國光社長は、その勢いのままのテンポの良い口調で、「07年6月にSNS(ソーシャ その後、國光氏は自分の経歴に触れ、1974年生まれで高校を卒業後、中国に4年間留学した後、チベット、インド、中南米などを旅し、さらに米国ロサンゼルスで学校に行き、仕事もしたと振り返りながら、「帰国して映画やドラマをプロデュースする仕事をしたが、英語、中国語を習ったことやエンターテインメント分野で事業をした経験が今、役に立っている」と強調。10年9月にグリーと戦略的提携をして体質を強化、今年4月には韓国とシンガポールに現地法人を設立したのに続いて、中国にも今夏、拠点を開設する計画であることなどに言及しながら、「一気に世界展開をしたい」と気合を込めた。 同時に、「社員が海外を合わせて360人ほどになり、すべての社員に直接話をすることができないようになってきたので、『One Step Beyond(誰も踏み出したことのない未来へ)』という企業ミッションを決めた」と説明。最後に「今後、映画を含めて(ゲーム業界が)再編されるのではないか」と予測した。 前田ポケラボ社長−ジャフコから転職−「世界と人を変える」 一方、前田社長はまず、「ポケラボは07年11月の設立だが、私は06年〜10年まで(大手VCの)ジャフコにい 前田氏は、國光社長のような創業者ではなく、社長になってまだ半年だが、「『ソーシャルアプリ(ゲーム)で世界と人を変える』がポケラボの企業理念だ」と強調するとともに、スマートフォンの登場によって、「世界中の皆が小さなパソコンを持つ時代になった。当社は完全にスマートフォンに特化している」と事業に取り組む基本的な姿勢を力説。併せて、昨年10月にSEGAと資本業務提携したことにより、SEGAのクリエイターと共同して、「運命のクランバトル」を開発するなどの成果が挙がっていると説明する一方、「最近、海外46カ国に『Monster Paradise(モンスター パラダイス)』の提供を開始したが、地域のパートナーと提携して次の戦略を練っていきたい」と國光社長と同様、世界に向けた事業展開を語りながら、「クリエイターが楽しく働き、社員が生き生きしている環境をつくりたい」と会社の将来像を描いて講演を終えた。 「海外進出は現地との融和が第一」-コアなメンバーは直接口説く この後、國光、前田の両社長と主催者のサンブリッジ グローバルベンチャーズ(SBGV)の平石社長によるトークセッションに移行。平石社長が「コンプガチャ(コンプリートガチャ)」の問題について両社長に質問すると、「影響はゼ また、SBGVが「世界を席巻するベンチャーの輩出」を目標にしていることから、平石氏が海外進出について聞くと、國光社長は「コアになるメンバーは直接口説き、あとは(現地に)任せる」、前田社長は「土着化させ、日本の会社だと感じさせないようにしたい」と現地との融合を第一にする点で意見が一致。さらに國光社長は「グローバル化というのは、米国もOne of The Countriesになるということ。これからはアジアの時代で、アジアからベンチャー企業がグローバルに成長するエコシステムを創り出そう」と力強く提案、トークセッションを締めくくった(國光社長が考えるエコシステムについては後段参照)。 多彩な経歴の5社の経営者−IT駆使したシステムをプレゼン 一方、資金調達や事業に対する支援を求めて5社のベンチャー企業がプレゼンテーションしたが、その社名と開発・提供するシステム・サービスを列記すると−−。 ◎フェイバー・アプリケーションズ=GPS(グローバル・ポジショニング・システム)の情報をもとに1キロメートル〜50 ◎F.F.B.=自分の好み・センスと近い人とつながるSNSで、オンラインショッピングを助け、効率化するサービス。 ◎アンエクスペクテッドコミュニケーションズ=特性に合わせて任意にエリアを設定し、チラシやカード類を配布するスマートフォン向けプラットフォーム。 ◎OGエディタ=多機能なWYSIWYGテキストエディタの開発・運営。やや技術者寄りの層がメインターゲット。 ◎ゼロストラクト=常に3秒以内でWebサイトを表示するシステムで、ユーザーが簡単に活用できるようにクラウドベースでの提供を検討。 プレゼンした5社(人)は「今後、法人化も検討する」のが1人で、あとの4社は09年〜今年の設立と新しい会社ばかり、本社所在地は東京都、大阪市、横浜市で、経営者の年齢は30代半ばが3人、40代が2人。20代はいなかったが、経歴は国内の大学、大学院や米国の大学、大学院などを卒業(修了)し、起業するまでに勤めたのも日本の企業、シンクタンクをはじめ米国の企業、日本で事業をする外資系企業など多彩であるのが特徴だった。 VCから厳しい質問−サイト迅速表示のゼロストラクトが優勝 プレゼンの時間は1社15分(説明が8分、参加者からの質問が5分)で、参加者からの質問は特にVCから多く、 参加者の投票により、この5社の中からゼロストラクト(代表取締役・須藤明人氏、横浜市南区)が優勝(第一位)、F.F.B.(代表取締役・遠藤健一郎氏、東京都練馬区)が準優勝に選ばれ、プレゼン終了後の懇親会で表彰された。 世界的IT大手3社がクラウド環境や投資等で参加ベンチャー支援 「Innovation Weekend」は、インキュベーションスペースである「Startup Base Camp」全体を運営するサイバーエージェント・ベンチャーズ(代表取締役・田島聡一氏)などの協力を得て開催されているが、同時に日本マイクロソフト、セールスフォース・ドットコム、Amazon Web Servicesの世界的なIT大手3社もプレゼンするベンチャー企業などの支援に取り組んでいる。このため3社の担当者が、ベンチャー企業5社のプレゼンの前に支援するサービスなどを説明した。 その主な内容は「総合開発環境、クラウド環境を最大3年間無償で提供」(日本マイクロソフト)、「プレゼン優勝者に2000ドル分、準優勝者に1000ドル分のクラウドサービス無料券などを提供」(Amazon Web Services)、「日本のアントレプレナーへの投資やコミットをこれからも続ける」(セールスフォース・ドットコム)などで、3社が歩調を合わせて、こうした支援をしているところにも、「Innovation Weekend」の特徴があると言えよう。 ネットエイジ西川社長とクックパッドの穐田代表執行役も参加 日本にも多様なタイプのベンチャー企業経営者が次々と…… 主催者のサンブリッジ グローバルベンチャーズ(SBGV)は、サンブリッジ(東京都渋谷区、代表取締役会長・アレン マイナー氏)が今年1月にベンチャー投資とインキュベーションスペース「グローバル ベンチャーハビタット」運営の2つの事業を移管して設立した会社で、「Startup Base Camp(約1200平方メートル)」内で同ハビタットを運営している。 (左は上記と同様に筆者がインタースコープ会長当時の平石氏を取材して同新聞の連載に書いた記事=04年1月7日付。平石氏の経歴については、このブログ「ベンチャー温故知新」に、前回の「Innovation Weekend 2012 Spring」の様子を掲載した4月16日の記事「起業して世界を変えよう!」を参照して下さると幸いです)。 ◎ ◎ ◎ アジアエコシステムにベンチャーを成長させた経営者の経験を 國光社長が主張するアジアのベンチャーエコシステムですが、ベンチャーエコシステムは一般的に、起業家を中心に「エンジェルやVCなどの投資家」と「公認会計士、税理士、弁護士、弁理士をはじめマーケッティング、財務、技術評価などの専門家」がネットワーク化されている環境を言います。懇親会で筆者が國光社長に「このような一般的なシステムだと考えて良いですか」と聞いたところ、國光社長は「それにベンチャー企業を成長させた経験を持つ経営者が加わることが必要」で、そうなれば、「ベンチャー企業の成長過程に合わせたアドバイスができる」ということでした。米国ベンチャー企業の経営陣に、かつてベンチャー企業を創業した経験者が入っていることがありますが、そうしたベンチャー企業経営者の層も厚くなって欲しいものだと思います。 ◎ ◎ ◎ 日本はじめアジアのVC、PE協会が起業促進で10月にフォーラム 今回の「Innovation Weekend」には、一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(本部・東京都新宿区)の安達俊久 会長(伊藤忠テクノロジーベンチャーズ代表取締役社長)も参加していました。休憩時間に安達会長に聞いたところ、今年10月10日にアジア各国・地域のVC協会、プライベート・エクイティ(PE)協会が集まり、東京でNetwork Forum(フォーラム)を開くということです。経済産業省などと共催するようで、参加する協会などの詳細はまだ決まっていないそうですが、日本以外では、中国、韓国、香港、シンガポール、インド、オーストラリアなどのVC協会、PE協会が参加するようです。 今年1月にアジア ベンチャーキャピタル カウンシルの設立が合意され、日本が議長国になったことから日本で開かれるそうですが、投資する側だけでなく、ベンチャー企業経営者も参加し、広く起業促進・ベンチャー支援の環境づくりが話し合われるということです。ちょうど日本ベンチャーキャピタル協会は今年11月に設立10周年を迎えます。これを機に、アジアのベンチャーエコシステムの創出に向けた第一歩が踏み出されるとともに、日本のVCの活動が強化されことを期待したいと思います。アジアのVC協会が集まったForumは2010年11月に東京で開かれました。そ 日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社(リンク) |
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