検証・大震災:福島第1原発 汚染水対策、漂流2年半
毎日新聞 2013年09月07日 東京朝刊
結局、地中の土を凍らせて1〜4号機を土の壁で囲う「凍土式」=図中<3>=が採用された。くいを打ち込む大規模工事が必要な粘土式と違い、土を凍らせるため、地中にある複雑な配管も施工の支障にならない。工期も18〜24カ月と短く、コストも数百億円で済むとされる。一度は見送られた工法だ。効果は確かなのか。大西委員長は毎日新聞の取材に「ベターだがベストではない」と語った。
その後、事態は一段と悪化する。東電は「可能性は考えていない」としていたが、汚染水は、対策で工事を進めていた水ガラス=図中<2>=による壁の上を越えた。東電は参院選投開票日の翌日の7月22日に海洋流出を認め、タンクからの汚染水漏れもほどなく明らかになった。
福島県漁連が9月上旬に計画していた相馬双葉漁協といわき市漁協の試験操業延期を決定した8月28日。茂木経産相は、佐藤雄平知事と面会した。
茂木経産相「タンクの増設は急がせるよう指示しています」
佐藤知事「分かりました。しかし本当に、こうやって会談している間にも汚染水が海に流れていますから……」
茂木経産相は佐藤知事の話を遮るように「ですから(海側だけでなく)陸側に凍土遮水壁をまず造り、それから建屋内をしっかりやり、そして……」と対策を並べ立てた。いらだちが明らかに見て取れた。