検証・大震災:福島第1原発 汚染水対策、漂流2年半
毎日新聞 2013年09月07日 東京朝刊
政府・東電が7月19日に発表した事故収束と被災者支援の総合工程表には、遮水壁について初めて「設計・着手」と明記。細野氏は26日の参院内閣委で「政府の意思として前倒しした。東電がやるというよりは、政府として関与する体制だ」と強調した。東電は8月1日、遮水壁の工事をステップ2の期間中に始めると発表。海側=図中<1>=を陸側に先駆けて造り、陸側はステップ2期間内に検討することを盛り込んだ。
細野氏の周辺は遮水壁への国費投入について「必要があれば出せる仕組みは作った」という。しかし、政府が予算措置に動いた形跡はない。当時の政権幹部は取材に「なぜだか分からない」「経緯は知らない」と言うばかり。財務省にも「事故処理費用は事故を起こした企業が負担するのが原則」との慎重論が根強く、結局、遮水壁着工の是非は東電の判断に委ねられた。
◆12月 首相「事故収束」宣言
◇「何とかなる」過信
阿武隈山地の集めた豊かな伏流水は、福島県沿岸から10キロ沖合で海に湧き出ているといわれ、一帯は恵まれた漁場だ。原発敷地内を1日1000トンの地下水が流れ、そのうち400トンが原子炉建屋に流れ込む。この地下水流入が汚染水対策の最大の障害であることは誰の目にも明らかだった。